新入社員向け学び方の第三の軸
2013年12月15日 Facebook
新入社員向けの「学び方を学ぼう」的な文章を考えている。学びには3つの方向性がある。1つ目は特定の分野を深く深く掘り下げていく方向。2つ目は新しい分野へ視野を広げていこうという方向。そして3つ目はとても見落とされがち。本を読んだり社外の勉強会に出たりしても学ぶことができない。(さてなんでしょう)
人それぞれ、得意不得意はあるだろう。でもこの3つ方向性があることを意識して、どれかに偏り過ぎたり、どれかをないがしろにしすぎたりしないようにすることがよいのではないだろうか。
夏原 一彰
アウトプットですかね。
Nishio Hirokazu
アウトプットはたしかに重要なんだけど、どの方向性の勉強をするときでも必要だね。理解できているかどうかは、アウトプットして結果を検証しなければわからない、だから何を学ぶにしてもアウトプットは必要。
夏原 一彰
うーん、じゃあ応用ですかね。
Nishio Hirokazu
「応用」はある意味で近い方向性。
前2つが目立ちやすいのは、それが広い範囲で汎用的であり、その結果として本の出版ビジネスが商業的に成立したり、社外勉強会に需要のある人が集まってイベントが成立したりする。一方で世の中には汎用性の低い知識もある。それらは価値が劣るのか?いや、そうではない。
Kunio Miyamoto
自分で使うシーンを念頭に置いた学び方、ですかね?
応用と似た方向ではあるけど、より実際のユースケースを想定した学び方は、ユースケースを知る当人にしか具体化できない気がする。
Nishio Hirokazu
「実際のユースケース」というのはかなり想定していたものに近いです。
解答編:書籍や社外勉強会では学ぶことができない、学びの方向性の第3の軸は「組織内情報への特化」です。例えば社外に公開されていないソースコードに関する知識や、社内の人間関係、仕事の進め方などに関する知識が当てはまります。
表記揺れ:組織内情報への密着
書籍や社外勉強会のネタにはならず、学んだところで自分の転職市場での価値は短期的には上がらないし、ブログに書いたり勉強会で発表したりして承認欲求を満たすこともできません。しかしこの知識なしには組織内で動いている既存のビジネスに対して価値を生み出すことはできません。
自分では第1軸、第2軸に特化しているつもりの人であっても、社内で価値を生み出しているなら無意識に「社内のニーズ」という組織特化の知識を学ぶ活動をしているはずです。
ここに学ぶべき分野があることを意識し、ないがしろにせずに意識してリソースを割くことが必要でしょう。
Kunio Miyamoto
確かに軸として意識されることは少ないかなと思います.
ただ,組織内情報への特化は,私の感覚では3年くらいで1つめの軸や2つめの軸とも関連付けられるものになりえます.
これは別に組織内情報を漏えいさせるということではなくw,組織内情報(例:特化した仕事の仕方やルール)に行き当たった経緯を知り,そのような経緯が客観的にみてあるべきものであるかどうかというのを分析・評価した上で,組織内情報によらない汎化した情報に昇華させるのにそのくらいの時間が必要かなと経験的に感じているからです.
オレとかは1つの企業に20年以上勤務してるヘタレですがw,あるルールがその組織に特化した固有のルールであるか否かの見極めは,その会社で過去に何が発生したか(失敗したか)を推し量る手がかりになりますし,そのような失敗を繰り返さない(再発防止のための)手立てを考える上で有効な素材になりえます.それが反面教師だったとしてもw.
よくあるのは「なんでここまで縛りがきついんだろう」というようなルール設定ですが,そのようなルール設定をした背景が何か?ということに考えを巡らせ,そのような背景から懸念されることを無理なく確実に解消する(=ルールのメンテナンスや順守のための各種コストを削減できる)というのは,立派なビジネスの種になります.そして,そのようなことをする手助けになるのが優秀なコンサルタント,そのようなソリューションを提供できるのは優秀なソリューションプロバイダ,と認識してます.
Nishio Hirokazu
知識の量が増えるに連れて、そこからより抽象的で普遍的な法則性を見出しやすくなる、というのは組織内情報に限った話ではありませんね。例えばプログラミング言語の学習でも同じです。
汎化した情報に昇華するにはその材料となる汎化されてない情報の収集が必要で、それにはそれなりの時間がかかる、という点には同意です。だからこそ第三軸の方向にも学びを進めなければいけない、というストーリーの予定です。