文書作成過程で生成された不用知の収集と活用可能性の検証
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これまで,知識を効率的に活用する研究が数多くなされてきた。これらの研究が対象とする知識は,有用であるという判断のもとで形式化された知識である。一方,これらの知識が創造される過程では試行錯誤が行われることが一般的であり,この過程において不用と判断された知識断片(不用知)は最終的には記憶も記録もされることなく棄却され,活用対象としてみなされない。しかしながら,不用知は,ある知識創造の文脈で不用と判断されただけであり,その他の知識創造においても一律に不用と判断されるのは適切でない。筆者らはこれまで,不用知の活用可能性に着目し,文章作成過程において棄却された文章断片(棄却文章断片)を不用知として収集・活用すべく研究を行ってきた。具体的には,棄却文章断片を活用可能性の高いもの(R-DTF)と低いもの(F-DTF)とで分別収集可能な文章作成支援システムText ComposTerを開発した。本稿では,Text ComposTerで収集したR-DTFが新たな文章作成において実際に活用されるかどうかを検証し,その検証結果を踏まえて棄却文章断片を知的資源として活用するための環境構築について検討する。(著者抄録)