抽象概念、身体感覚、メタファ
次の文章は、同じ経験について述べていると仮定してください。それらを声に出してみて、あなたの内なる反応に気づいてください。
1. 彼女が私の目を見て、甲高い声で話すと、私の頭全体がドキドキし始める。
2. 彼女の態度に腹が立つ。
3. 私がダイナマイトで、彼女が起爆装置を持っているようなものだ。
例文1は、見たもの、聞いたこと、感じたことなどによって自分の体験を描写している。
例文2は、抽象概念を使って、体験にレッテル(ラベル)を貼っている。
現実の経験は複雑なゲシュタルトを持っているのだが、それを単純化して抽象概念の言葉で表現している。
この行動を「ラベルを貼っている」と表現している。
つまり体験をきちんと描写していない。
例文3は、比喩的な表現を使った描写である。
メタファーとシンボル(象徴)は同じ意味で使われている。西尾は日本人の読者にとって「シンボル」が「個人的な感覚の比喩的な象徴」ではなく「他人と共有されてる印」と解釈されやすそうだと思って「メタファー」を使っている。