差異にもとづく価値
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ソシュールの「差異にもとづく価値(valeur)」まとめ 言語単位(語・音素など)の「価値」は、その単位が他の単位とどう違い、どう結びつけられるかという関係の網の目から生まれる、という考え方。各要素は固有の実体的な意味で決まるのではなく、体系内の差異によって位置づけられる。 仕組み(2つの関係)
連辞関係(syntagmatic):実際に並ぶ関係。「黒い+猫+が鳴く」のような語の連接で生じる制約・役割。
連合/範列関係(paradigmatic):同じ位置に入れ替え可能な候補の選択関係。「黒い/白い/大きい…猫」のような置換可能性。
➡︎ ある語の価値は、
(1) 連辞的に何と結べるか(結合可能性・機能)と、
(2) 範列的に何と区別されるか(対立・置換可能性)
の総合結果として決まる。
nishio.iconこの辺、単語の意味は周辺単語の分布によって計算できる、というword2vecとの関連を感じるね キー点
1. 差異の産物:言語は「差異のみで構成され、陽性項をもたない」とされる。/p/ と /b/ は音そのものの性質より、対立(有声・無声など)が価値を与える。
2. 恣意性と慣習:能記(音形)と所記(観念)の結びつきは自然必然でなく、社会的慣習に依存。ゆえに価値は体系内相対で、言語ごとに異なる。
3. 言語間のずれの例:仏語 mouton は「羊」も「羊肉」も指しうるが、英語は sheep / mutton と分かれる。語の“意味”の違いというより、体系の切り方(差異の立て方)の違いが価値の差を生む。
4. チェス/通貨の比喩:チェスの駒の価値は材質ではなく、他駒とルールの関係で決まる。通貨も金属固有の性質ではなく、制度内の交換関係で価値が生まれる。語も同様に位置(関係)=価値。
「価値」と「意味」の違い(実務的に)
意味(signification):語が指し示す内容の説明。
価値(valeur):その語が体系内で占める位置(何と結べ・何と置換できず・何に対立するか)。
同じ対象を指しても、体系が違えば価値は変わる(上の sheep/mutton 例)。
誤解しがちな点
価値は「使用頻度や社会的評価」ではない。構造内の関係に基づく技術的な語。
価値は固定実体ではない。語彙や音韻の全体配置が変われば連動して変わる。
必要なら、あなたの関心領域(例:哲学用語や技術用語、政策言語)の語彙で、連辞/範列の差異から価値がどう立ち上がるかを具体分析します。どの語で試しますか?