安野貴博×岸田文雄対談「AIと政治」
kishida230 文藝春秋PLUS 公式チャンネルの番組「安野貴博のPLUS LAB」で、安野貴博さんと「AIと政治」という内容で対談をしました。
夕方には後編も配信されますので、ぜひ合わせてご覧ください。
https://pbs.twimg.com/media/GlfVmAHboAA7kHA?format=jpg&name=medium#.png
岸田文雄
https://www.youtube.com/watch?v=BCHa4Dcl3OI
〈番組概要〉
今回から始動した新番組「安野貴博のPLUS LAB」。AIエンジニアの安野貴博さんをメインMCに、さまざまなゲストをお招きし、1つのテーマについて深く議論する番組です。
記念すべき第一回目のゲストは、前内閣総理大臣の岸田文雄さん。政治の世界でAIはどう活用され、何が懸念されているのか。ディープフェイク問題から中国発の「DeepSeek」に対する評価まで、お二人の縦横無尽なご対談をお楽しみください。
〈目次〉
00:00 オープニング
04:45 政治家によるAI利用
10:52 ディープフェイク問題への取り組み
18:12 選挙におけるSNSやAI活用
29:09 海外と日本におけるAI導入の現状
o1 Pro.icon
1. 岸田氏が東大・松尾豊研究室でAIを基礎から学んでいた事実
首相在任時、松尾豊教授の下で「基礎の基礎」から講義を受け、修了証をもらうまで勉強していた。
実際の執務では、議員秘書などがチャットGPTのようなツールを使い、あいさつ文や資料収集に活用している。
2. 車座対話での“岸田さんの声マネAI”披露エピソード
安野氏が総理就任中の岸田氏と初めて対面した際(車座対話)に、岸田氏のYouTube音声を学習させた音声変換モデルを即興で披露。実演で周囲が盛り上がった。
3. ディープフェイクを巡る個人的見解と広島AIプロセスの背景
岸田氏自身、ディープフェイクによく使われる初の総理経験者として「社会全体での対応が必要」と強調。
G7広島サミット時に「広島AIプロセス」が採択されたが、その裏には既に松尾豊氏などの助言を受け、“AIのリスクにも早くから危機感を持っていた”という個人的事情があった。
4. 中国発の「DeepSeek」に対する日本の捉え方
投資規模が大きい米欧と比較すると、日本は遅れをとっているという一般論がある一方、最近の中国モデル(DeepSeek)が「低コストでの高度AI開発の余地」を示している点は日本企業にとって励みになる可能性もあると岸田氏がコメント。
5. AI投資の“エコシステム”論への踏み込み
AI研究開発だけでなく「データセンターや電力インフラ、人材教育、デジタルリテラシー向上」への幅広い投資が必要と強調。
欧米と同等の数十兆円単位の資金投入が日本で現実的に可能かどうかは課題だが、基盤(半導体・電力インフラ)から人材育成まで含めた総合的アプローチが不可欠との見解。
6. 「デジタル民主主義2030」構想と政治家の意思決定
安野氏は“多様な国民の意見をAIで可視化・分析しつつ、最終決定権は政治家が持ち、説明責任を果たす”という、既存の政治体制とAIの使い分けを重視。
岸田氏も「幅広い声を集約し分析するAIは、政治家の決断を補佐する上で有用だが、最終的な責任は人間が負う」という点を再確認。
まとめとして
岸田氏が松尾研究室で学習し、AIを実際に議員活動へ取り入れていた具体例など、首相経験者が「個人的にAIを活用してきた具体的背景」はこれまであまり大きく報じられてこなかった。
ディープフェイク問題や広島AIプロセス、さらに欧米や中国のAI投資動向など、政治現場でのAI利活用・規制・国際協調の必要性に深く踏み込んで議論が進んだ点も番組の大きな新味となっている。
https://youtu.be/JuSPFLz45oI?si=Z5fBe4EwsKuxk68M
〈目次〉
00:00 オープニング
02:10 政策立案におけるAI活用
08:58 内閣総理大臣の意思決定プロセス
19:04 今後AIは意思決定を担えるのか
o1 Pro.icon
1. 政策立案とAIの“出典表示”活用
岸田氏は政策立案で膨大な資料を分析する際、「出典が明らかなAI」の登場が役所にとって非常に有用であると強調。
AIが示す情報の信憑性を確認するため「どこから得られた情報か」を特定できる点が、行政において特に歓迎されている。
2. スピード感のギャップとAI法整備
AI技術の進展は速いが、政策化や法整備には時間がかかると指摘。
EUがAI規制を急いでも施工は数年先になる例を挙げ、今後日本でも「リスクと可能性のバランスを考えるAI法」が議論されている。
3. 総理大臣レベルの意思決定の特徴
年に「十何個」程度の“特に難しい案件”を決断していた。防衛力強化やエネルギー政策など、大規模で説明責任も重い。
「朝、予定外に早く目覚めた時にふと決心が固まる」ことが多かったと語り、朝の“ひらめき”が重要だったという個人的エピソードはあまり表に出ていない話。
4. “人間が判断する価値”の残り方
AIがどこまで高度化しても、最終的に人間が背負う責任や「人が悩んで下す決断に共感が集まる」点は政治の世界で残る可能性が高い。
安野氏は「知的作業自体はAIが担えるようになる」としながらも、「人間だからこそ納得感を得られる場面」は残るのではと議論。