安心社会から信頼社会へ
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安心社会から信頼社会へ―日本型システムの行方 (中公新書) 新書 – 1999/6/1 「信頼」と言う言葉は多様な用法で使われる
共通部分を取り出すと「自然的秩序および道徳的社会秩序の存在に対する期待」(バーナード・バーバー)になるが、この定義は使いづらい
能力に対する期待と意図に対する期待を分ける
「配偶者が浮気をしない」という信頼は「浮気をする能力がない」と「能力があるけどやらない」の2つがある
nishio.icon逆に、デフォルト誘惑に弱い生き物だとした上で「誘惑に打ち勝つ能力」と「誘惑に打ち勝つ意図」とした方がシンプルで良いかも
この「意図に対する期待」をさらに分けるのが著者のアイデア
意図に影響を与える仕組みがある上で、他者が自己利益を最大化するならこの選択肢を取るだろう、という考え
例
マフィアのボスの命令に逆らうと即殺されるので、命令に従う
村長の決定に逆らうと村八分にされるので、命令に従う
「日本は信頼社会」は事実に反する認識
「大抵の人は信頼できるか?」という問いにYesはアメリカ人だと47%、日本人だと26%
自己認識を聞くだけではなく、実際に社会的ジレンマの実験を行っても同様の結果 p.30
実験条件
4人で行う実験で、参加者は互いに対面せず、終わった後にも互いに会うことはない。
各々の参加者に100円が与えられ、参加者はその一部を寄付する。
寄付した金額の2倍が残りの参加者に与えられる。
これを12回繰り返す。
得た金額はそのまま実際に報酬として支払われる。
つまり、みんなが寄付しなければ1回の収入は100円、みんなが全額寄付すれは200円、自分以外が全額寄付して自分が寄付しなければ自分の収入は300円。
日本人は平均44%寄付するのに対して、アメリカ人は平均56%を寄付する。
p.46 寄付額の最も低い人に罰金を加える条項をつけた場合
日米どちらでも寄付額は増える
日本は44%→75%、アメリカは56%→76%
p.35 一匹狼の実験
日本人はアメリカ人に比べて非合理に個人行動を選ぶ
社会システムによる抑止力で社会的不確実性を減らして「安心」な社会を作ることができる
しかし安心な社会では、社会的不確実性が多い状況で「信頼」を作るスキルが育たない
これが「安心な社会」から抜け出すことを妨げる
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第3章 信頼の解き放ち理論
高校を中退した人とそうでない人で他人に対する信頼に大きな差がある p.109