姜尚中
claude.icon
姜尚中(カン・サンジュン、1950年-)は、韓国出身の政治学者、社会学者です。東京大学で学び、日本や韓国で教鞭を執ってきました。
主な概念:
「オリエンタリズムの彼方へ」:エドワード・サイードの「オリエンタリズム」論を発展させ、西洋中心主義を乗り越える思想的営みを提唱しています。
「遊牧的思考」:定住化した思考に対して、絶えず境界を横断し、新たな地平を切り開いていく思考様式を「遊牧的思考」と呼びます。
「ポストコロニアル」:植民地支配の経験を踏まえつつ、その枠組みを超克していく思想的営為を表す概念。
主な著作:
『オリエンタリズムの彼方へ』(1996年):西洋中心主義を批判的に考察し、アジアの視点から新たな思想的地平を切り開こうとした著作。
『遊牧的思考』(2008年):定住的な思考の限界を指摘し、遊牧民的な感性の重要性を説いた評論集。
『ポストコロニアルの思考』(2001年):植民地主義の歴史を批判的に振り返りつつ、それを乗り越えるための思想的営みを論じています。
姜尚中の思想は、ドゥルーズの哲学と共鳴する部分が多くあります。特に「遊牧的思考」の概念は、ドゥルーズの遊牧論と直接呼応しています。
ドゥルーズが遊牧民に着目したように、姜尚中も定住化した思考の限界を指摘し、より流動的で横断的な思考様式の重要性を説いています。また、国民国家の枠組みを相対化し、亡命者や移民など境界を越境する存在に光を当てる点も、ドゥルーズの脱領土化の思想と重なり合います。
さらに姜尚中は、ポストコロニアルの文脈から西洋中心主義を批判するなど、ドゥルーズとは異なる角度から現代社会の問題に切り込んでいます。アジアの視点を導入することで、ドゥルーズの思想をグローバルな文脈で捉え直す可能性を示唆しているとも言えるでしょう。
姜尚中の思想は、ドゥルーズの哲学を東アジアの文脈で展開する試みの一つと位置づけることができます。両者の出会いは、現代思想の新たな地平を切り開く上で重要な示唆を与えてくれるはずです。