大規模多人数コミュニケーションの4つの時代
nishio Four Era of Massive Multiplayer Communication
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nishio The current emerging innovation is to improve the quality of communication by stopping direct human interaction and let computer (statistics, algorithms, or AI) mediating information transmission.
nishio 細かいことをいうとどの時代も色々な要素が混じり合ってたんだけど、バッサリと簡潔にするとこんな感じ。大規模なコミュニケーションはまずラジオの発明による「ブロードキャスト」によって幕を開けた。この時代のリプライは「ラジオ局にお手紙を出す」だったし、それを読むかどうかは局側が決めていた
nishio その後インターネットの誕生により(ニュースグループやメーリングリストやHTML手書きのテキストサイトなどを経つつ)ブロゴスフィアが生まれた。分散したサーバでホストされたブログが互いにトラックバックを送ってつながり合う時代だった。(分散的に始まったものが中央集権化していく話は今回はしない
nishio この当時、初期には読者のコメントは即座に表示される設定が多かった、その後スパムコメントなどの氾濫により「コメント欄を閉じる」という意思決定をする著者らが増えていった。僕もかつてコメント欄をオープンにしていて、それから閉じた人の一人である
nishio この辺りの話は時系列で綺麗に並んでるものではなく、小さく生まれてだんだん広がることが起きている。この辺でのちに「ソーシャルメディア」と呼ばれるようになるものが誕生している、それが「ミニブログ」だ。名前の通りこれは「小さくて手軽なブログ」として生まれた。
nishio 「ソーシャルネットワーキングサービス」が生まれて、つまり「ソーシャルネットワークを作ること」を価値と考えてた時代が(この時点ですでに)あったという話は今回はオフトピックなので割愛
nishio ミニブログは、基本的には能力の劣った人間をユーザにすることでユーザ数を増やす戦略によって拡大してきた。Tumblrが「リブログ」の機能をつけた。これは自分で記事を書くことができない人間でも他人の記事を自分のタイムラインに乗せられる機能で、機能がない頃にコピペでやれば単なる剽窃だった
nishio システム的に「やって良いこと」とすることによって他人の記事を複製することが手軽にできるようになり、自分で文章を書くことができないユーザでも情報発信をしたつもりになることができた。これが当時はまだリツイートの機能のなかったTwitterに持ち込まれ、のちにシステム化された
nishio もう一つの大きなイノベーションはTwitterの文字数制限だ。これはつまり、当時ブログが持っていた「記事を公開するならこれくらいの分量だろう」という既成概念をぶっ壊して、きちんと文脈の説明されてない断片的な文章を公の場に投稿することをアリとするカルチャーを生み出すものだった
nishio 三つ目の重要な要素は「速いフィードバック」と「ワンクリックでできる『いいね』というフィードバック」なのだけど、それは今回はスキップでいいかな
nishio これらの要素がうまく噛み合って、予想外に大勢の人が使うシステムが生まれた。重要なポイントは、このプロセスで「人々が冷静に生産的な議論をできる場を作ろう」なんてことを考えた設計はなされてなかったということ。ずっと「アホでも使える楽しめるものを作ってユーザ数を増やそう」だった
nishio その結果「字数制限のせいで言葉足らずで、文脈情報の乏しい断片的な発言」が、RTによって「文脈をわかってない大勢のアホ」に伝達され、そのアホの感情的なコメントが投稿者およびそのファンへと「速いフィードバック」される、という地獄が発生したわけだ
nishio (という投稿が文脈から切り離されて「アホ」という言葉に感情的になった人が噛み付いてくることが予見されるが、今のTwitterにはミュート機能があるから安心。このミュート機能がついたのはだいぶ後だったね、この機能が必要であることが明らかになってからついたわけだ)
nishio で、ここでEra4に進む。生産的な議論ができる場を作るために何が必要なのか、何を今のソーシャルメディアから取り除く必要があるのか。
文章で考えを書けない人も参加させたいなら、ワンクリックの意見表明手段は外せない。人々のエンゲージメントを高めるには速いフィードバックも外せない、なら、
nishio 「人間Xが人間Yに直接反論し、それがYに通知される」というところを取り除く必要があるよね。それがなくなればネット上のバトルの発生機会が格段に下がる。
(書いていて思ったんだけど発生した後のために特定の発言者のミュートも必要かもしれない??)
nishio この話のポイントは「誰かが話して他の人がそれを聞く」という非対称なコミュニケーションは簡単にスケールするが、「お互いが対等に話す」というコミュニケーションは、数人以上にはスケールしないということ。人間は100人が話しかけてくると理解することができない。
nishio なので「大規模な人数で対等に議論する」を実現するためにはデジタル以前の慣習である「人に直接話しかける」というやり方を一旦避ける必要がある。
nishio 「コミュニケーション」という言葉から「人に話しかける」イメージを取り除いて抽象化すると、大規模な人数が参加してアウトプットをする方法として「投票」と「購入」があることがわかる。投票は与えられた投票権を消費して政治家の名前を書いた紙を箱に入れる。購入は金銭を消費して商品を移動させる