作る過程で理解が深まる
テストは記憶の手段で、そのテストを自分で作ることは、それ自体が理解を深め、記憶を強化する、という話 https://gyazo.com/7da3362d118ec8224a748a79ee9ebbd4
してはいけない」にも関係することですが、覚える前にまず理解をすること
い。本を読んで情報を収集しただけでは、それは地面に平たく並べられて
いるだけです。集めた情報を積み上げてピラミッドを作る作業が必要です。
心理学者の Crailk と Tulvingは、単語の記憶と、その単語に対して行った
処理の深さの関係について実験を行いました注29。処理の深さは4段階あり、
各単語についてそのいずれかをしました。1段階目は、たとえばTABLE と
いう単語に対して「これは大文字で書かれているか?」という質問に答える
「形の処理」です。2段階目は、crate という単語に対して「これはweight と
韻を踏むか?」という質問に答える「音の処理」です。3段階目は、 shark と
いう単語に対して「これは魚の一種か?」という質問に答える「分類の処理」
です。4段階目は、friend という単語に対して「"He met a ___ in the street."
という文にはまるか?」という質問に答える「文の処理」です。
単語についてこの質問のいずれかをしたあと、単語をどの程度覚えてい
るかをテストしたところ、形の処理をした単語は18% しか覚えていなかっ
たのに対し、音の処理は78%、分類の処理は93%、文の処理は96%も覚え
ていました。つまり認知的に高度な作業をしたほうが記憶にとどまるわけ
です。
教科書を読んで、覚えるべき内容を見つけ出し、それを可能な限りシン
プルな問題にするという作業は認知的に高度です。問題を作る作業を面倒
に思って、どこかからダウンロードしたり、機械的に生成したりできない
か、と考えるかもしれません。しかし、それは認知的に高度な作業をして
記憶にとどめるチャンスを、みすみす手放していることになります。