他人の道具を刷新しようとする人の心理
自分が使ってもいないのに、他の人が使っている道具を刷新しようとする人の心理
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1. 支配・コントロール欲
組織心理学でいう「内的支配動機」に近く、自分が仕組みを設計し直すことで他者の行動様式を間接的に統御したい。 「使っていない=利用者視点がない」ため、本質的な問題解決より自分の影響範囲を広げることが主目的になりがち。
2. 承認欲求と自己効力感
他人の道具を改善すると目に見える成果が生まれやすく、社会的承認が得られる(「この人が改革してくれた」)。
まだ触ったことのない分野であればあるほど、成功すれば自己効力感が急上昇する――“未知の領域で勝った”感覚。
本人は「助けてあげたい」「もっと便利にしてあげるべき」と善意で動く。
しかし利用実態を知らないため、実際のニーズより自分の理想像を押しつけるリスクが高い。
医療や開発援助の分野で見られる「Savior complex(救世主症候群)」の軽度版。 4. 合理主義・エンジニアリング思考の行き過ぎ
“もし自分が設計者ならこうする”という思考実験を実行に移してしまう。
道具を「システム」と見なし、最適化問題として捉えるため、利用者の感情的・文化的要因を軽視しやすい。
典型例:外部コンサルが現場フローを全面改編→現場崩壊。
5. 社会的比較と地位シグナル
「古いままにしている=遅れている人たち」と無意識にラベリングし、刷新を提案する自分=“先進的”という地位シグナルを送る。 バージョンアップを主導する人=優秀というイメージを利用。
付き合い方のヒント
本人が善意で動いている
利用現場を見学させる → 理解ギャップを埋める
改革が独善的
小規模な実証実験を提案し、失敗コストを限定
真の課題が不明
利用者ヒアリングをセットで義務化
承認欲求が強い
可視化しやすい成果指標を別途用意し、本質的改善と切り離す
追記