ローティのアイロニストは唯名論的
nishio.iconローティの「アイロニスト」の定義における「唯名論的」とはどういうことか解説して。
gpt.iconリチャード・ローティの「アイロニスト」の定義における「唯名論的」(nominalist)という用語は、哲学的な文脈で重要な意味を持ちます。唯名論は、一般的に、普遍的な概念やカテゴリーが実在するのではなく、名前や言葉に過ぎないという立場を取ります。この哲学は、実在論(普遍的な概念が現実のものとして存在するとする立場)と対立します。
ローティが「アイロニスト」を唯名論的と述べるとき、彼はこの人物が自分の最も重要な信念や欲求が、普遍的な真理や絶対的な基準を参照しているとは考えていないことを指しています。アイロニストは、自分の価値観や信念が特定の歴史的、文化的、社会的状況に根ざしており、それらが偶然的であり、絶対的な真実や実体に基づいているわけではないことを認識しています。
この文脈での「唯名論的」は、アイロニストが自分の「終極の語彙」についての態度を示しています。終極の語彙とは、個人が自己の行動や信念を正当化するために使用する言葉や概念ですが、アイロニストはこれらの語彙が絶対的な基盤に基づいていないと認識し、それらが交換可能であると見なします。つまり、アイロニストは自分の価値観や用語が普遍的真理を表しているわけではなく、他の文化的または個人的な語彙に置き換えることができると考えています。
ローティにとって、この唯名論的な態度は、アイロニストが自分の信念や価値観を相対化し、自分自身や他者に対して謙虚であることを促します。また、この態度は、アイロニストが新しい語彙や異なる見方を受け入れる柔軟性を持つことを意味します。アイロニストは、自分の信念や価値観が唯一の正しいものではないという自覚を持ち、多様な視点を探求することに開かれています。
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名目論ともいい,中世の実念論に対立する立場。個物のみ実在し,類・種などの普遍は実在せず,ただ人間の精神の中で〈個物の後にpost rem〉生じると説く。
改訂新版 世界大百科事典
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要するに、例えば「粋」という「終極の語彙」に関して「『粋』という言葉が指している普遍的実在がある」のではなく「個別具体的な物事に人間が『粋』という名前をつけているだけ」だということか