リツイートは同一性保持権侵害になるか
著作者Aの許可を得ずに、異なる人Bが勝手にTwitterに投稿したものであることが大前提
ここが忘れられて過度の一般化をして恐れたり怒ったりしている人がいるので要注意
あくまで問題となるのは無断でツイッターにアップロードされた著作物です。
権利者が適法にツイッターにあげた画像などのリツイートは規約で適法化されようかと思います。この点、ご留意ください。
実際、Twitterの利用規約にはこう書かれている
ユーザーは、本サービス上にまたは本サービスを介してコンテンツを送信、投稿または表示することによって、当社があらゆる媒体または配信方法(既知のまたは今後開発される方法)を使ってかかるコンテンツを使用、コピー、複製、処理、改変、修正、公表、送信、表示および配信するための、世界的かつ非独占的ライセンス(サブライセンスを許諾する権利と共に)を当社に対し無償で許諾することになります。
今回、著作者Aの許諾を得ずに異なる人Bが投稿したため、著作者Aがこの利用規約に合意していないのが重要なポイント
「誰かが不法にTwitter投稿した画像をリツイートしただけで同一性保持権侵害になる」と聞いた人が「逮捕される?」と恐れているケース
不法にアップロードしたものかどうかリツイート者が知りえないケースでは問題にならない
刑法 第一編 総則 第七章 犯罪の不成立及び刑の減免
(故意)
第三十八条 罪を犯す意思がない行為は、罰しない。ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでない。
同一性保持権は著作者人格権。侵害の罪は著作権法109条で規定されている。
著作権法 第八章 罰則
第百十九条 (略)
2 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 著作者人格権又は実演家人格権を侵害した者(第百十三条第三項の規定により著作者人格権又は実演家人格権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者を除く。)
見てのとおり「法律に特別の規定」はないので、故意がない場合は罰せられない。
関連:
故意がなくても罰せられる例
刑法210条 過失により人を死亡させた者は、50万円以下の罰金に処する。
いわゆる過失致死罪
著作者Aの著作物をBが不法にTwitterに投稿した時点で、当然Bの著作権侵害が成立する
今回の争点はリツイートしたCにも侵害行為があるのかどうか
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