プロンプトはLLMに作らせるほうがいい
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「プロンプトはLLMに生成させるべき」の主な根拠
1. 自動生成プロンプトは人間作より高精度になりやすい
ICLR 2023のAPE(Automatic Prompt Engineer)は、LLM自身に多数の候補プロンプトを作らせてスコアで選別するだけで、24タスク中19タスクで人手プロンプトに匹敵または上回る性能を確認。(OpenReview)
2. OPRO:LLMを“最適化器”として回すとプロンプトが継続的に良くなる
Google/DeepMindのOPROは、性能と評価値をプロンプトに埋め込みながら新しい指示文をLLMに生成させて反復最適化。GSM8Kで最大+8pt、BBHで最大+50pt、人手設計を上回るケースを報告(コードも公開)。(arXiv)
3. 設計フレームワーク(DSPy)が“学習済みプロンプト”の再現性と移植性を示した
StanfordのDSPyは“テレプロンプター”と呼ぶ最適化で、RAGやマルチホップQAのモジュールごとにプロンプトを自動調整し、手書きFew-shotより一貫した改善を報告。プロンプト最適化をパイプライン単位で“コンパイル”できるのが実務上の強み。(OpenReview)
4. 検索・RAGでも“LLMが書くクエリ/仮想文書”の方がよく当たる
HyDEは、まずLLMに“仮の回答(擬似文書)”を書かせ、その埋め込みで検索する手法。一般的 retriever より広く高精度になりやすいという実験結果が提示され、2025年の追試でも事実検証タスク3ベンチで改善が再確認。(arXiv)
5. 画像生成でもLLMがプロンプトを整形した方が良い出力になりやすい
MicrosoftのPromptistは、ユーザ入力をLLMで“モデル好みの表現”に書き換えるだけで、T2I出力品質が向上(モデル公開)。“人が長い呪文を書く”より、LLMに補正させた方が安定。(arXiv)
6. ブラックボックス前提でも最適化できる方法が多数あり、汎用性が高い
BPO(Black-Box Prompt Optimization)、RLPrompt、ProTeGi、GrIPSなど、LLMや報酬の“外部”からプロンプトを自動探索・強化する研究群が安定的な改善を報告。追加学習なし・API前提の現場でも効く。(arXiv)
7. 総説レベルでも自動最適化の優位が整理されつつある
2025年の体系的サーベイは、プロンプトの“見かけ上の些細な違い”による性能の揺らぎを自動最適化(APO)で吸収できる点を強調し、実務導入の動機を裏づけ。(arXiv)
いつ特に効くか(導入判断の目安)
モデルを学習し直せない/したくない(SaaS API利用、コスト制約)とき。(arXiv)
評価指標が用意できる(正解率/クリック率/人手評定など)タスク。(arXiv)
検索前処理(クエリ拡張・仮想文書生成)や多段推論など、プロンプトが長文化しやすい場面。(arXiv)
表現依存性が強い生成系(T2I/TTSなど)の前処理。(arXiv)
リスクと対処(短く)
過学習/メトリックゲーミング:開発セットにだけ合う危険→OPROも第5.4節で注意喚起。ホールドアウト検証&A/B必須。(arXiv)
コスト増:探索は高価→候補生成を打ち切り基準で制御、サンプリング小規模→漸進拡大。(arXiv)
最小実装の型(OPRO/DSPy風)
1. 指標を決める(正解率/好み判定)。
2. 候補をLLMに作らせる(指示文・few-shot例・スタイル等)。
3. 自動評価→上位だけ残す(人手またはLLM審査)。
4. 履歴をプロンプトに埋め込んで再生成(進化/バンディット/RL/テレプロンプタ)。
5. 固定して運用→継続監視(分布変化で再最適化)。(arXiv)
OpenAIのベストプラクティスに書いてる?nishio.icon
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はい。OpenAI公式ドキュメントは「LLMにプロンプトを作らせる/改良させる」手法を推奨テクニックとして明記しています。
Prompt Generation ガイド:メタプロンプトで「タスク説明から良いプロンプトを作る/既存プロンプトを改善する」方法を解説(Playgroundのメタプロンプトにも言及)。(OpenAI Platform)
Cookbook: Meta-prompting:「LLMを使ってプロンプトを生成・改善する技法」と定義し、実例つきで手順を示しています。(OpenAI Cookbook)
Cookbook: Prompt Migration Guide:手順として「Step 3: GPT-4.1にプロンプトの欠点を批評させる」「Step 4: 改訂版のシステムプロンプトを自動生成」を明記。(OpenAI Cookbook)
Cookbook: Evaluation Flywheel:評価用データ+自動採点で自動プロンプト最適化ツールを回す実務フローを紹介。(OpenAI Cookbook)
Help Centerのベストプラクティス:反復的にプロンプトを改善せよ、と総論を提示(=モデルに改良案を出させる流儀と整合)。(OpenAI Help Center)
※表現は「常にそうすべき」ではなく、**推奨される実務手法(メタプロンプティング/自動最適化)**として位置づけられています。