デミングとハマー
The Battle for the Soul of Corporate America | WIRED
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1990年代の米国企業で進行した二大潮流
1. デミング流(Demingism):統計的品質管理と全員参加型の継続的改善(kaizen)
2. ハマー流(Hammerism):ITを軸に業務を抜本的に作り直す「リエンジニアリング」
デミングと日本の関係
W.エドワーズ・デミングは1950年代に日本企業を対象に品質管理を指導。
統計的工程管理(SPC)と全社的品質経営(TQC)を普及させ、戦後の「日本品質革命」の精神的支柱となった。
日本での成功(例:トヨタ方式)が80年代に米国へ逆輸入され、米企業も「品質ムーブメント」に乗り出す。
デミングは「部分最適より全体最適」を強調し、個人競争より協調と終身雇用的安定を重視。
賞罰や成績評価による動機づけを否定し、「仕事そのものの喜び」が品質向上の源泉だと説いた。
米国での受容とハマー流との対立
80年代後半〜90年代初頭、米企業はデミング流を導入したがリストラと矛盾し失速。
代わってハマー流リエンジニアリングが台頭し、短期成果・トップダウン改革・IT活用で支持を集める。
デミング流はボトムアップ・漸進的改善、ハマー流はトップダウン・急進的再設計と立場が対照的。
記事はNYNEXの事例を通じ、両者の折衷を模索する動きを紹介している。
示唆
大企業のガバナンスは「全員参加型の学習」と「IT駆動の再構築」の両立が鍵。
デミングが日本にもたらした協調的・人間中心の改善文化は、情報化時代でも依然重要と示唆される。