オートポイエーシス
o1 Pro.icon
フランシスコ・ヴァレラは、ウンベルト・マトゥラーナと共に「オートポイエーシス(autopoiesis)」という概念を提唱しました。オートポイエーシスとは、生物システムが自律的に自分自身を生成・維持する性質を指します。具体的には、システム内部で構成要素が互いに相互作用しながら、自分自身を作り替えつつ境界を保ち、外部環境と物質やエネルギーのやりとりを行うものです。 この理論は、生命を単に外界からの入力で決まる受動的存在ではなく、内部構造を能動的に維持し続ける自己組織的な存在として捉える点に大きな特徴があります。ヴァレラは、このオートポイエーシスの視点を神経科学や認知科学にも応用することで、「認知とは生物が自らの生存を維持する行為そのものである」という考え方を示しました。こうした観点は、意識・認知の研究だけでなく、ロボット工学やシステム理論など幅広い領域に影響を与えています。
nishio.iconそれと膜や核はどう関係する?
o1 Pro.icon
オートポイエーシス理論では、まず「境界をもつネットワーク」が重要です。具体的には細胞膜が自他を区切る「境界」を担い、その内部で代謝や自己再生が循環しています。核(のように遺伝情報を保持する仕組み)は、細胞レベルで自己を維持・更新するための設計図を提供する要素といえます。 ただし、必ずしも「核があるからオートポイエーシスが成り立つ」わけではありません。原核生物には核がありませんが、膜をもった自己維持機構があり、それ自体がオートポイエーシス的に機能します。膜が環境とシステムの境界を形成し、内部の構成要素が相互に働き合いながら自己を生み出し続ける点が、オートポイエーシス理論の核心です。