オンライン投票はなぜ『難しい』のか
claude.iconオンライン投票の実現は、投票の秘密を守ることが技術的に難しいため、容易ではありません。 投票の秘密は現代の民主主義国家における選挙の重要な要件の一つです。投票内容が他者に知られると、個人の純粋な自由意志による投票が阻害され、また票の買収などの不正行為を助長する恐れがあります。 日本の現行の投票所投票では、投票所の構造や設備の配置、投票管理者・投票立会人の配置などにより投票の秘密が守られています。また、投票用紙を投票箱に入れた時点で投票者と投票内容の紐付けがなくなる「レシートフリー」の状態となり、強力に秘密投票を実現しています。 一方、オンライン投票では、脅迫や買収の影響下で自宅などから投票させられる危険性があります。唯一国政選挙で全国的にオンライン投票を実施しているエストニアでも、事前のオンライン投票の後に投票所で投票し直せる仕組みにすることで対策していますが、投票者と投票内容の紐付けが残る以上、レシートフリーは実現できていません。
日本でオンライン投票を導入するには、エストニアのような緊急の必要性はなく、技術的なブレイクスルーが必要と考えられます。ただし、すでに二重封筒方式を使っている在外投票については、より早期の導入の余地があるかもしれません。いずれにせよ、有権者自身が背景にあるリスクを理解した上で議論し、判断していくことが重要です。