あなたが選ぶ、私が買う
深圳の書店と図書館が連携して面白いサービスを実現している。読者は、図書館の在庫から選ぶのではなく、書店の在庫やオンラインストアから選ぶことができる。読者は選択肢が広がり、図書館は新刊から読者の読みたいであろう本を選ぶ負担がアウトソースされ(特に技術書では負担が大きかった)、書店は顧客の誘引ができる。画期的なシステムだ。
深圳書城 中央城 という巨大書店にて
https://gyazo.com/db8a612a95b4f76cd9538241235b71de
最初、書籍の検索ターミナルかなと思ったのだが、一番上に「あなたが選ぶ、私が買う(你选书 我买单)」って書いてある
「読者カード」をタッチするところがある
何か「書店」でイメージするのとは違うシステムがありそうだ
深圳書城 南山城で中央城で見た「あなたが選んで私が買う」の詳しい説明を見つけた
https://gyazo.com/42c7364c25511f8387d2d2a6a352fce0
簡単に言えば
図書館の読者カードで認証→本を選ぶ
→キャッシャーに持っていくと図書館がお金を払ってくれて自分は無料でその本を読める
→31日以内に図書館の自動返却台に返せば良い
書いてあること
流れ
"自動弁証機"で認証する
南山書城の現場で本を選ぶ
レジで無料で借りて読む
01: 深圳図書館の読者カードがあると参加できる
02: 借りて読めるようになるために読者カードは以下の条件を満たす必要がある
滞納金がない
期限を過ぎても返していない本がない
貸出冊数が上限に達していない
03: このサービスでの貸出ルールは深圳図書館の貸出ルールに従う
期限は31日
期限到達前に、ウェブサイトやWeChatでもう一度借りることができる
04: 以下の本は選べません
教補教材(教科書副読本のことか?)の類
外国語原版図書
テストの類
季刊の雑誌やその合冊本
手で紙を折って色を塗ってる類の本
子供向け立体絵本
地図
ビデオ作品
単価が100元を超える本
図書館にすでに16冊以上の所蔵がある本
05: カードごとに毎月、最大5冊まで借りることができる。このシステムで借りた本と、図書館で借りた本の総数は、その読者カードで借りることができる最大冊数を超えることはできない。
06: このシステムで借りた本は、必ず南山図書館前の自動返却台に人力で返さなければならない
07: 一人の読者は一度に一枚の読者カードしか使うことができない
08: 一人の読者は1ヶ月に1回だけ本を借りることができる
09: 3冊以上でセットになっている書籍はこの活動に参加しない
考察
要するに図書館職員の代わりに読者が収蔵する本を選ぶ仕組み
1人は月に1回、5冊まで、図書館にすでにたくさんある本はNG、書籍の金額上限あり、という条件がある。
図書館側のリスクは大きくない。もし予想以上に人気で予算枠を使い切ったら翌年まで休眠すれば良い。
元々の書籍購入予算の一部をこのシステムに割り振って、収蔵する書籍を選ぶタスクを実ユーザに移譲する形
100元の制限
100元は1500円だが、日本の場合はもっと上限を引き上げる必要がありそう
https://gyazo.com/39fad4355c31477d99f25ac3af73f49e
この「中国哲学常識」は北京理工大学出版が出している、その大学の教授の授業をベースにした書籍、322ページ
こういう書籍は日本だと3000円超えるかなと思うが、実際の価格は43元(650円)だった
日本の図書館では、特に技術書に関しては古すぎる本やイマイチな本しかないことがしばしばある
図書館職員が技術者ではないから仕方ないと思い込んでいた
このシステムがあれば改善できそう
日本の技術書は高くて、若い人が入手しにくい
図書室の品揃えが良くないと、技術書を読まずに無償で読めるネット記事を読んでしまう
良い技術書が世の中にあったとしても、それが読まれない
このシステムについての情報を収集して日本語で発信すると良さそう
恵州市のある区の似た取組
読者は書店での購入だけではなく、オンラインショッピングのように自宅に届けてもらえる
図書館の読者カードで認証する
云书馆=雲書館=クラウド図書館、面白いネーミング
イベント予算は3万元、尽きたら即終了
1人の人は3冊借りられる
オンラインで買った本が70元を超えれば、宅配代金無料で届く
購入上限は3冊なので、既に図書館で1〜2冊借りていると、その冊数を3冊から引いた冊数しかオンライン購入できません。すると、70元を越えない可能性が高くなります。なので、既に図書館から本を借りている人はまずそれを返却してからオンライン購入することをお勧めします、と記事に書いてあります。
深センの福田区の図書館の2017年の予算報告
「書籍選択」プロジェクトという名前で言及されている
(Google翻訳)地区の総本部は、年間を通じて171,000冊の紙の本(作品)を購入し、eBayデジタル漫画博物館と新華電子ショップWeChat電子ブックという2つのデータベースを新たに追加しました。 「CNKI中国知識資源プール」、「知識ベースの読み取り」、「龍源電子ジャーナル」、新しいオリエンタルマルチメディア学習ライブラリ、Huikeニュース、VIP試験リソースシステム、その他のデジタルリソースを更新し、1,500種類の2016ジャーナル、新聞は164種類あり、年間を通じてさまざまなリソースを使用することで合計86万人の読者がおり、41万部の文献を借りています(張)。 同時に、地区図書館は「指先の図書館」を絶えず最適化し、書籍ガイドサービスに新しい本棚を追加して、デジタル読書プラットフォームの機能を向上させています。 「書籍選択」プロジェクトは、図書館+書店モデルと組み合わせて、読者が公共図書館の建設に参加するための読書促進プラットフォームを作成するために開始されました。これにより、コレクションリソースが充実し、文学の利用率が向上しただけでなく、市民の読書熱意も刺激されました。 今年、モバイルセルフサービスAPPのダウンロード数は1,926増加し、モバイルAPPを通じて読者がダウンロードした記事の数は23,000を超えました。 デジタルライブラリWebサイトへの訪問者数は193万人に達し、訪問した電子デジタルリソースの数は295万人に達し、ダウンロードトラフィックは66Gでした。 ワイヤレスネットワーク「WIFI」の使用量は243,000回、使用量トラフィックは8.5TBでした。
予算
一、购置费529.8万元。其中属于政府采购4.8万元,非政府采购项目525万元,购置图书、音像、数据资源、机房维护设备、你选书我买单二期开发费、微信公众开发等525万元。
政府調達と非政府調達に分けて書かれており、非政府の方は詳細には書いていない。多分開示義務がないのだろう。
非政府調達525元に、図書・ビデオ・デジタルリソースの購入、コンピュータ室の維持機材、書籍選択プロジェクトの第二期開発費、WeChatでのPR活動・開発が含まれている
南山図書館の予算報告
このプロジェクトの個別予算は分からない
総予算が六億円くらい
「南图E借」の図書館による使用説明
書いてあること
「深圳市图书馆之城(深圳市図書館の城)」の読者カードがあれば参加できる
オフライン・オンラインどちらでも使える
読者は南山図書館に行って現地で本を選ぶことも、自宅に居ながらにして選ぶこともできる
スマホで選んで、それが家に配達される
オンラインでもオフラインでも無料
オフラインのやり方
読者カードを持っている人は南山書城の現場で本を5冊選ぶことができる
南山図書館の公衆番号の「本棚」の「スキャンコード」ツールを使うことでその書籍が条件を満たしているかどうかチェックできる
(nishio.icon公衆番号ってのは公式WeChatアカウントのことで、LINEアプリみたいにWeChatアプリが存在してて、その中に書籍バーコードをスキャンして条件を満たしているか判別するアプリがあるということかと思う)
書店のフロントで貸し出し処理を完了できる
オンラインのやり方
南山図書館のWebページもしくはWeChatアカウントから、読者番号を入力してログイン
希望の本を選択して本棚に追加、追加できない時にはボタンはグレーアウトする
(nishio.iconこの書籍一覧を図書館と南山書城のどちらがメンテしているのかはわからないが、APIなどを使ってシステムが連携するようにしてるのだろう、実際に使ってみたい)
オンライン書店の要件に従って注文を送信し、レベル4の住所と電話番号を入力する
(nishio.iconレベル4とは何かは不明)
注文が正常に行われた後、オンライン書店はあなたが記入した領収書情報に従って商品を配達します。
2.入庫
注文後、書店は本をすぐにドアに届けますので、電話がブロックされておらず、宅配便業者が連絡しやすいことを確認してください。 現在の速達便は深圳市内に限定されています。
(nishio.icon勝手に郵送をイメージしてたが、もしかしたらバイク便で即日届くのかもしれない)
3.本を返す
読者のカードを持参して、深セン南山図書館のメインホールのフロントデスクに本を時間通りに返却してください。
2018-03-26のニュース
「南山図書館は新しい“南图E借”サービスを開始し、読者は支払いなしで書籍を買えるようになった」
南山图书馆と南山书城は合同で“我的图书馆我做主”ブランドを立ち上げた
“我的图书馆我做主”=「私の図書館、私が主になる」って感じ
記者はサービス開始初日に南山書城に行った
物理端末は読者カードを持たない人が速やかに読者カードを得られるようにするためのもの
(nishio.icon 図書館側は読者カード発行数をKPIにしているのかもしれない)
2分で読者カードが発行されたらしい
(nishio.icon 図書館にはパスポートで入れると聞いていたが、もしかして僕も読者カードを作れたんだろうか??)
据南山图书馆方面统计,“南图E借”服务开始5小时内,线下书店参与读者达96人次共选购书籍431册,而线上平台参与读者达35人次。
図書館の統計によれば開始5時間で、オフライン書店に96人の読者が来て431冊の書籍を購入した。オンラインプラットフォームには35人の参加があった。