「論理的思考」の文化的基盤
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文庫が1年遅いのでまとめなおしたんだろう
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新書版(後者)は「論理的思考」を中心にコンパクトにまとめ直しており、前者にあった以下のような内容が大きく割愛されています。
アメリカ・フランス・イラン・日本それぞれで歴史教育がどのように論理や因果律を教えているかの詳しい事例。
文化的・制度的背景を踏まえた「論理/合理性/能力」を総合的に比較検討する第三部の議論。
各章末で行われている、教育文化全体への示唆や「社会原理」としての日本の特徴を詳説する部分。
後者の新書版では、そうした教育制度・社会理論・調査過程の詳述を省き、「論理的思考」の多元性や文化差の要点に絞って再構成されています。
目次
普遍的であるはずの「論理」と「合理性」。それは文化によって大きく異なり「価値観」とつながる。「文化の多様性」という言葉に逃げ込まず、それぞれ4つの原理を代表する日本・アメリカ・フランス・イランの思考表現スタイルから4タイプの論理と合理性を明らかにする。ポスト近代を生き抜く知恵となる比較文化論の集大成。 目 次
序 章 論理と合理性、能力の文化的基盤
1 小論文に見る文化の衝突
2 思考表現スタイル──文化に根ざした論理と推論の型
3 学校の役割──主流文化の伝達
4 四つの領域と四つの教育原理
5 本書の構成
6 開かれたローカルな世界を生きるために
第一部 教育文化のモデルの構築
第1章 〈論理〉と〈合理性〉の起源と類型──教育のメタ機能
1 文化の位置づけ──個人と制度、社会、文化のつながり
2 論理と推論の社会的起源──デュルケムの知識社会学と集合的認知
3 集団間の衝突はなぜ起きるのか──ウェーバーの合理性と合理的行為の理念型
4 ルーマンの社会システム理論における〈論理〉と〈合理性〉──ポスト近代の視点
第2章 教育文化のモデル
1 教育原理の四類型──教育の目的と手段
2 調査対象と方法
第二部 四つの教育原理と四カ国の思考表現スタイル
第3章 経済原理──アメリカ
1 エッセイの論理と思考法
2 エッセイの歴史的起源と発展
3 エッセイの教育──型による目的論的思考法の教育
4 個性とイノベーション──作文教育のもう一つの側面
5 歴史教育に見る合理性と合理的行為──逆向き因果律と時空間の把握
6 アメリカの能力観──効率性・戦略性・目的論的思考と階層化された能力
7 アメリカにおける能力観の変遷──伝統的教育からの分化
8 小括──アメリカの思考表現スタイル
第4章 政治原理──フランス
2 政治原理に照らしたディセルタシオンの特徴
3 ディセルタシオンを目指した言葉と思考の教育──教育のグランド・デザイン
4 歴史教育に見る合理性と合理的行為──俯瞰の視点と共通の価値の追求
5 フランスの能力観──教養を背景にした言語技術と価値観
6 小括──フランスの思考表現スタイル
第5章 法技術原理──イラン
2 イランの作文教育──ことわざと詩の役割
3 歴史教育に見る合理性と合理的行為──循環する時間と不変の因果による類推
4 イランの能力観
5 小括──イランの思考表現スタイル
第6章 社会原理──日本
1 感想文の歴史的背景と社会的機能
2 感想文の論理と思考法
3 感想文の特徴と機能──多様な価値の受容と共通感覚の育成
4 日本における論証文──意見文と小論文
5 日本の書く教育の全体像──主観から間主観へ
6 歴史教育に見る合理性と合理的行為──変化する状況と縁起の思考
7 日本の能力観
8 小括──日本の思考表現スタイル
第三部 教育文化の四元モデルから見えるもの
1 四つの原理と四つの納得の構造──論理性を超えて
4 合理性を超えて──推論の型と意味ある行為・価値ある行為
終 章 教育文化の四元モデルから見る日本の立ち位置
1 調査から得られた知見
2 理論的、方法論的、実証的貢献
3 思考表現スタイル──論理/非論理、合理/非合理、優劣を分けるもの
4 日本の立ち位置──ポスト近代の世界で