trustlessではなくtrust-building
引用
(質問者)
「将来的に“完全に信頼不要”で“完全にオープン”な政府をつくることは可能でしょうか?」
(Glen Weyl)
“I don’t like the word trustless. I like the word trust-building, because what they did in Taiwan was going from a 9% to a 60% approval. So is that trustless? Well, they were somewhat trustless at the beginning, but then they created trust.
We should always want to create trust, not to destroy trust. The term trustless in blockchain originally means ‘you don’t have to trust blindly something that does not deserve your trust.’ That’s what trustless means. But I think it’s quite confusing because what we’re doing with Web3 is to have a more earned version of trust, so we don’t have to blindly trust something that’s not deserving it.”
(Audrey Tang)
“The new situation is not about no trust. It’s only relatively low trust for the old thing, but it creates a new trust relationship between new institutions.”
nishio.iconたぶん前半の側がAudreyだと思う、動画を見て確認しよう
(概訳)
グレン「“trustless(信頼不要)”という言葉より、“trust-building(信頼構築)”という言葉がいいですね。台湾では政府への支持率が9%から60%にまで上がりましたが、それは『(政府を)全く信頼しない状態』で成功したというより、“信頼を獲得していった”と言えるわけです。ブロックチェーン界隈で使われる“trustless”は本来、『信頼に値しないものを盲信する必要はない』という意味だったはずですが、やや誤解を招きやすい。私たちが Web3 で目指すのは、むしろ“より獲得された信頼”をつくり出すことなんです。盲目的に信頼する必要がないようにする、という話であって、信頼を壊すわけではありません。」
オードリー「新しい仕組みは『完全に信頼を無くす』わけではなく、『古い仕組みに対する信頼を抑えた上で、新たな機関・組織との間に新しい信頼を築く』ということなんです。」
解説(要点)
「trustless」という言葉のもともとの意義
ブロックチェーン文脈で使われる “trustless” は「既存の中央権力を盲目的に信頼せずに済むようにする仕組み」を指し、中央の管理者が要らない「分散型」の仕組みを強調する言葉。
しかし、それを「一切の信頼を捨てよ」という意味に誤解されやすい。
“Trust-building” という発想
台湾での事例(支持率9%から60%以上に上がった)は「既存権威を分解する(trustless)より、デジタル参加インフラを通じて 新たな相互信頼 を築く」アプローチの成功例。
全てをバラバラにしたり誰も信じなくなるのではなく、新たなガバナンスやコミュニティとの関係を深め、信頼を育てていく姿勢が大事。
結論:誤解されがちな “trustless”
元々は「不健全な権威に頼らない」ことを強調する概念だったが、「まったく信頼しない」という印象を与えやすい。
むしろ「何をどう信頼すればいいか」を明確にしていく “trust-building” こそが望ましい、というのが両氏の主張である。