kintone×電子書籍
ツッコミが入ったところを太字で表現
裁断・スキャン・OCRしたPDF(以下、電子書籍)がたくさんある状況を想定
ツッコミ まずこのスキャンは複製行為なので合法な複製であるかがツッコミどころ
説明し忘れだが以下の方法で合法的に複製した想定である。
(私的使用のための複製)
第三十条 著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。
当然、会社組織内で業として使用するために下記システムを使ってはいけない
この裁断スキャンしたPDFをWebサービス、たとえば kintone にアップロードしたらどうか
見る人が1人だけの状態なら合法のはず
DropboxやEvernoteに置いてるのと変わらない
「公衆」に送信しないので、送信可能化権の侵害に当たらない
複数人だったらどうか
これもフィールドのアクセス権設定をすれば合法だと思う
ツッコミ: 「公衆」の定義をきちんと確認したか?
公衆の定義:
この法律にいう「公衆」には、特定かつ多数の者を含むものとする。
一人なら大丈夫だが複数人の場合に何人から多数になるかが明確ではない
特定でも公衆に該当する
1人利用の場合でも得られるユーザのメリット
自分の持ってる電子書籍にインターネット上でのパーマリンクが付く
その書籍についてのコメントを書いておくことができる
裁断スキャンした電子書籍に限らず、論文などを入れてもよさそう
https://gyazo.com/39bbf7e2d964d6c1eea0caaa932f22d8
自分の所有する電子書籍全体からの横断検索ができる
https://gyazo.com/c7be0642e47a0a72519ab0493bf99cc0
これを複数人で利用したらどうなるか?
限られた少数の友人間だけで共有するなら 「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内」 だから公衆送信ではない、と主張できる?
私的複製が可能な範囲に関する議論を援用
ツッコミ 「公衆」は明文的に定義された概念なので他の議論を援用するのはNG
特定でも多数なら公衆送信に該当するので「著作物の利用」であり、許諾を得なければならない。
ツッコミ そもそも私的複製という言葉はない
(私的使用のための複製)
第三十条 著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。
「著作者は複製する権利を占有する」この複製は著作物の「利用」である。
使用と利用は別の単語
利用以外の使い方を使用という
「聞く」は利用に含まれていないので使用である
私的な使用を目的とする複製は使用者本人なら許される、という条項である
メリットとしては、同じ本を持ってる友人を見つけてその本についての話題で盛り上がったり、買おうとしている本で検索して持ってる人に評価を聞いたり、など本を媒介とした知的コミュニケーションの支援になる。
ので合法なら堂々とやりたい
kintoneの機能を生かした解決方法
kintoneはデフォルトの機能でフィールドごとにアクセス権を指定できる。
つまり「添付ファイルフィールドはレコード作成者のみが閲覧できる」と設定できる。
こうなると何人で使っても公衆送信ではないよね?
https://gyazo.com/25131a1fd1baa7a0040f7eca1a559194
さらに攻めた利用法
例えば「特別にアクセスを許可した友人」というフィールドを追加して、閲覧権限を付与すると、その友人は見たり検索したりできるようになるが、これは私的な範囲だろうか?
この「アップロードした人だけが見られるPDF」に対して、例えばキーワード抽出して関連書籍をサジェストするとか、全員が内部を検索できるようにするとかの目的で管理者がダウンロードし解析するのは下記の条項により合法。
(情報解析のための複製等)
第四十七条の七 著作物は、電子計算機による情報解析(多数の著作物その他の大量の情報から、当該情報を構成する言語、音、影像その他の要素に係る情報を抽出し、比較、分類その他の統計的な解析を行うことをいう。以下この条において同じ。)を行うことを目的とする場合には、必要と認められる限度において、記録媒体への記録又は翻案(これにより創作した二次的著作物の記録を含む。)を行うことができる。ただし、情報解析を行う者の用に供するために作成されたデータベースの著作物については、この限りでない。
検索によってヒットした部分の周辺をスニペット表示することも以下の条項により合法
(送信可能化された情報の送信元識別符号の検索等のための複製等)
第四十七条の六 公衆からの求めに応じ、送信可能化された情報に係る送信元識別符号(自動公衆送信の送信元を識別するための文字、番号、記号その他の符号をいう。以下この条において同じ。)を検索し、及びその結果を提供することを業として行う者(当該事業の一部を行う者を含み、送信可能化された情報の収集、整理及び提供を政令で定める基準に従つて行う者に限る。)は、当該検索及びその結果の提供を行うために必要と認められる限度において、送信可能化された著作物(当該著作物に係る自動公衆送信について受信者を識別するための情報の入力を求めることその他の受信を制限するための手段が講じられている場合にあつては、当該自動公衆送信の受信について当該手段を講じた者の承諾を得たものに限る。)について、記録媒体への記録又は翻案(これにより創作した二次的著作物の記録を含む。)を行い、及び公衆からの求めに応じ、当該求めに関する送信可能化された情報に係る送信元識別符号の提供と併せて、当該記録媒体に記録された当該著作物の複製物(当該著作物に係る当該二次的著作物の複製物を含む。以下この条において「検索結果提供用記録」という。)のうち当該送信元識別符号に係るものを用いて自動公衆送信(送信可能化を含む。)を行うことができる。ただし、当該検索結果提供用記録に係る著作物に係る送信可能化が著作権を侵害するものであること(国外で行われた送信可能化にあつては、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものであること)を知つたときは、その後は、当該検索結果提供用記録を用いた自動公衆送信(送信可能化を含む。)を行つてはならない。
要件(のうちの満たすか怪しげな物)
業として行う者
送信可能化された情報の収集、整理及び提供を政令で定める基準に従つて行う者
効果
当該記録媒体に記録された当該著作物の複製物...のうち当該送信元識別符号に係るものを用いて自動公衆送信(送信可能化を含む。)を行うことができる。
要するに検索エンジン事業者が検索対象を複製して保存したり、検索にヒットしたものの複製物を自動送信してもよい
書籍のタイトルを共有するのは合法である
タイトルは著作物ではない
第二十条 著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し
の記述を元に「題号が著作物に含まれるなら『著作物及びその題号』と書く必要がないため、題号は著作物ではない」と主張する