QVは耐戦略的と言えるか?
耐戦略性(adversarial robustness)とは合理的あるいは敵対的なプレイヤーが意図的に制度を攻略して私益を最大化しようとした場合でも、制度本来の社会的目標(効率・公平・正当性)が大きく損なわれないこと。
Quadratic Voting(QV) は「強度も示せる投票」を狙い、追加票の限界費用を線形にするx^2コストにより、リスク中立で相互独立な私的価値というモデルの下では限界的に誠実な行動を誘引し、厚生最大化に近づくと理論化されてきた。
しかし「耐戦略性」を重視して眺めると、設計上の想定を外れた戦術が多数あり、補助的なガード無しでは脆弱な場面が多い。以下で脅威パターンと緩和策を整理する。
memo https://chatgpt.com/c/68861eb8-4d40-8327-bb7e-64861bb85e09
シビル攻撃(Sybil)
1人が多数のIDに分身し、票を分散購入して実質的に1票あたりの平均コストを下げる
“一人一票”前提の公平性崩壊。多数派を装うことも可能
予算無制限 & Whale 問題
予算上限がなければ富裕層が大量購入 富の集中=影響力の集中
連携・談合(Collusion)
集団で投票計画と費用負担を最適化
連携グループが少費用で結果を支配
DAO での「投票プール」。数値実験で「QVは線形投票より談合耐性が低い」との結果
議題操作・デコイ
相手の予算を消耗させるための疑似議題を大量提示、重要議題に使えるクレジットを枯渇させる
オンラインコミュニティのスパム提案
買収市場の形成
クレジットやIDが二次市場で売買
表面上のルールを回避して影響力を金銭化
“Vote‑bank” サービスの出現