2020年2月の日記
2020年2月、新型コロナウイルスのパンデミックにより、会社はフルリモートワーク、各種のイベントはオンライン開催となった。
(3/11) 今見聞きしていることここ数週間で体験したこと、特に「物理的に集合することなく、従来の物理的集合を置き換える体験」に関して感じたことを印象が新鮮なうちに記録しておかなければと思った。
今経験していることは、必ず10年後の社会の形に影響を与える。
https://gyazo.com/ae17de56158a06b3343fe05b76dbd528
9年前の今日、2011-03-11 東日本大震災があった。
この時の出来事はサイボウズなどの企業をリモートワークに強く推し進めるきっかけとなった。
今年起こったことも、同様の現象を引き起こすだろう。
その時、この記録が変化のきっかけを振り返る資料となる。
以下未整理
このページは
まず3/11時点の僕視点で今までの出来事を振り返る
時系列に。
当初はコロナウイルスの話は省いて書こうと思っていた
が、絡み合っているので、現時点では切り離さずに時系列で書く。
有用なところだけ取り出すのは未来にやれば良い。
それから社会が通常状態に戻るまで加筆していく
分量が多くなったら適宜、ページを分割する
という方針で整理する
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新型コロナウイルスは、1月20日にヒト-ヒト感染が確認された旨の発表があった
1月24日の僕は特に気にしていない。東京駅経由で出社している。
2/14-16
2月14日に新入社員の歓迎会に参加
15, 16(土日)で未踏Demo Dayに参加している。
人が集まるところに行くのを少し嫌だなと思った記憶がある。
2/14の厚生労働省 中国で死者1000人越え、日本国内で1人の死者、クルーズ船からの一部下船、という状況 当時は「とはいえ、行かないわけには行くまい」という気持ちだった
たしか「死亡率高いのは高齢者だけだしな」みたいな感じだった
懇親会で色々な話を聞いて危機感が高まる
3月10日の未踏会議を物理開催するのか?という問い
医療崩壊という概念の獲得
自分の死亡率の多寡は問題ではなく、人の濃厚接触の機会を減らさなければならない
17-20
元々、月水は土日の休日出勤代休で休みだったが、月曜17日のうちにいろいろ考えて18日の早朝にとりあえずフルの在宅勤務を始める
2020/2/18(火) 5:56 火曜日は在宅勤務、水曜日は休日出勤代休、木曜日は在宅勤務の予定です。
21日 金曜日
ラボで勉強会と定例会があり、それには物理的に参加している。
これが僕の最終出社日である。
24-27
翌週も木曜まですべて在宅勤務をしていた。
金曜はラボの勉強会が僕の担当なこともあり、出社するつもりだった。
しかし木曜27日の夕方に「2メートル以内かつ30分以上接触する状態(濃厚接触)を原則避けろ」という行動方針通達があった。
それまでは「在宅勤務を推奨」だったが、28日からは「濃厚接触をするには本部長が必要と認めることが必要」となった
ここで問題になるのが、3月3日にサイボウズの会議室で開催予定だった未踏社団・経産省・IPAの月例会議
確実に「濃厚接触」に該当する
僕より先にそのことに気づいた川合さんに相談され、まずは経産省・IPAがビデオ会議を可能か確認する流れに
さくらグループも大差ないタイミングで原則在宅勤務へ。会議室提供不能。
確認結果→
ZoomならWebブラウザだけでできるから可能
画面共有が出来ないので資料を事前共有
カメラはなし
ダメ元だったが意外とOKだった
川合さんお休みのためZoom周りは西尾が巻き取る
元々、未踏社団単体の会議は僕がZoomをホストして基本オンラインでやってた
それを2つにするだけ、と思った
2月28日 金曜日
勉強会と定例会はオンライン開催
フルリモートモブプロ
モブプロを体験してみよう、という予定だったが前日の方針通達でどうするかって話になり、うまくいくかどうかわからないけどやってみればいいんじゃない?で決行
講演なら一方通行に話すけど、こういう会で見てる人のフィードバックがないと不安
チャットへの書き込み、画面を共有して話してる側は気づきにくい
定例会
ビデオ会議ではなくテキスト報告のみだと勘違いしてた
そのため音声を出せない環境にいた
音声なしでビデオ会議に接続
音声出せない旨を書いておいたのに気づいてもらえず退席中と勘違いされる
Zoomの注釈機能で共有されてる画面に書き込んで意思疎通
未踏会議の無観客開催がアナウンスされる
2/28→3/2
都心部で数万人規模のリモートワークという報道を受けて、テレワークできる環境は整ってるのかという友人の発言に対して
僕は今週は1日も出社してないけど、少なくともサイボウズは震災の時にリモートをやって一応回って、その時に経験した諸々の問題をその後解消して来たので、まあ大きな問題ない感じに整ってるよね。東京の企業にとって転換点は震災だったのではないかな。
震災の時にリモートやって「VPN同時接続数が!」「複数人で音声コミュニケーションしたい!」みたいなのが出て、接続数を増やしたり全社員Zoom Proだったり、在宅用PC配布したり、という感じ
こういうノウハウ、まとまってると真似しやすくていいよなぁ
まーでも、この時は社会の物理的インフラの不調が問題の原因なケースだったわけだが、今回は人間が不調の原因なので、営業職とかに割とチャレンジがあるみたいな雰囲気だね。その点、僕みたいな研究開発職は楽なもんである。
これを書いた28日時点では「一部の現場に行かなきゃ出来ないタイプの仕事を除いて、ほとんどの場合はリモートワーク可能」と考えていた
ヤフーはオリンピックで全社リモートワークを計画してて、それを前倒ししたらしい
3/2に「テレワーク環境が整ってる日本企業は19%との試算」って報道を見て驚いた
アメリカは85%らしい
「新型コロナはテレワーク対応を進めるきっかけになるだろう」
9年前の震災はきっかけにならなかったの?
世の中の多数派とは時間軸が9年ずれてるんだな、と思った
3月3日
未踏社団・経産省・IPAの月例会議
早めに入って待機することができるように、と思って予定を広く取ったことで予定のオーバーラップが起きており、それが原因かはわからないがホストの僕が初めて「ミーティングに入れない」という状態に
ホスト前の参加可能オプションをつけてたので僕がいなくても進められてることを確認して、僕はマシンの再起動へ
未踏社団の定例会議で、ホストではない荒川さんが議事進行することもよくあったので任せて大丈夫と判断
同室マシン間でのハウリングとか、マイクから遠い人の声が拾えない問題はあったが大きな問題にはならず
3月4日
東工大CUMOT
本日は東京工業大学cumot スタートアップデザインコース4期の最終発表日です。目まぐるしく状況が変化する中、いろいろ考えて各所と協議・調整をした上でオンライン参加ができるようにしました。最終発表をそのように開催するのは4年目にして初の試みです。Facebook 発表を中継するだけなら貸与ラップトップにインストールなしのZoomでOK
マイクが前方向しか拾えないので会場の質疑を拾うのに問題がある
拾おうとしてスマホのマイクをONにするとハウリングが起こる
現地では「広い会場で間隔を開けて座る」が行われてる状況でのZoom接続、これもラップトップ一台インストールなしでのブラウザ経由、発表者の声を拾うのはラップトップをそちらに向けておくだけでまあ問題なかったのだが、問題は会場での質問。最低限中継マシンを話してる人の方に向けることをしないと、斜め後ろからの声は全然入らない
この時、手持ちのスマホからZoomに繋いでマイクをオンにしたらよいのではないか、という試みがされたが、ハウリングが起きた
広い会場でのマイクの問題はまだ安価な解決策は見つかってない状態。サイボウズだと、例えば部屋の天井からマイクがいくつもぶら下がってたりするんだけど、それはコスト高いし大学の教室がそういう状態になるのは直近考えにくい
会議室に360度マイクを置くのは良く行われてるけど、教室ぐらいの広さで行けるかは試してない
3月6日
サイボウズの一面広告「がんばるな、ニッポン」
「がんばるな、ニッポン」字面だけ見て怒る人がいそうだけど「物理的に現場に行くことが不必要なケースで、がんばりとか空気とかで現場に行くことを強要するのはやめませんか?」って感じの意味だからね Facebook サイボウズラボの定例会議
FaceRigでアライグマになる人登場
僕もFaceRig入れようと思ってたがMacで動かないことに当日気づいた
FaceRigは表情が強調されて良い
会社の会議ではFaceRigで動物アバターで参加する人を観測した。現実の顔ではなくても実害はないし、むしろ表情が強調されてよい。世の中的にはバーチャル背景とか、化粧してなくても化粧顔にするとかされてるけど、この方法だと背景も素顔も送信されないので、生の顔の露出が求められる状況以外ではこっちの方が良いのではって思った
会社の会議で少し混み入った話になったので、僕はiPadからZoomの注釈機能を使って画面に書き込んで整理するのを試みた。現状のZoomの機能はまだ進歩の余地はあるが、口頭オンリーのコミュニケーションよりもよくなるのは間違いない。
3月7日
情報処理学会
https://gyazo.com/5f5fcbc88e5b78358fe33fcfdf459ead
そろそろ「自分のアバター」がないと生活に支障が出そうな雰囲気になってきたな一
https://gyazo.com/132f8b5b9d75544e871cc28b088096e9
自分の体がある人とない人...
拍手ボタンを押すとパチパチできる、なるほどなー。喋ってる人の妨げにならずに聞いてる人がフィードバックできる仕組み
移動範囲の限定を壁でなく宇宙空間でやるの開放感があっていいな
https://gyazo.com/7a50f236b6d61d3723b831cb05c37aa0
フロアでビックリマーク押した人に話す権利を回す、というコミュニケーションスタイル
パネリストが実験し始めて面白い、サイリウムで会場アンケートできる、普通の挙手より情報量が増えていいな
僕は雑にアカウント作ったので顔画像すらないアバターなのだが、時々見知ったアイコンの人が歩いていくのが見える
(会場からの「わからない、と表明する方法が欲しい」という話に)ネガティブなフィードバックをできるべきかどうかってのは悩ましいところだよなぁ、サイリウムが多用されるようなユースケースではあんまり必要とされないだろうけど、授業の時にはハテナくらいつけても良さそうに思うし、シチュエーションによってエモーションのパレットを取り替えられる必要があるのかなぁ
https://gyazo.com/907071f9608d60aeb9def7fb27caeea0https://gyazo.com/06c10b616da1efcaf65114610a79b3e9
いきなり巨大化する稲見先生
大仏っぽい
僕はまだVRに慣れてないので、人型でないものを人間と認識しづらいことがわかった。三角形が人間だとは気づかなかった(無意味に三角形が置かれてたり動いたりするはずないのに)
3月10日
未踏会議ナイト
低気圧のせいなのか昼から頭が痛くて頭痛薬も効かなくて大変だったけど、途中横たわりつつも最初から最後まで未踏会議・ナイトを視聴できたので個人的にはオンライン参加は楽で助かった。
Zoomでの懇親会は僕はしんどくてパスしたのだけど、うまくマッチングして盛り上がった部屋と、うまくいかなくて散った部屋とがあったみたい。物理的な懇親会みたいにウロウロできる方法があるといいのだけど。
「普段は時間や地理的な問題で参加できないけどこの形なら参加できる」って話もちらほら目にしたので、来年以降は物理とデジタルを上手く融合させていきたいところだが、どうするのがよいだろうか。
Zoomでのマッチングがうまくいかなかった時の情報交換(ここには人がいない、ここにはいる)が同時多発的にMattermostとSlackとFacebookで起きてたのを観測したので、そこにニーズがあるのだろう。
登録不要で使えるチャットを1チャンネル用意しとくと良かったのだろうか
(同期Slackで呼んで同期で集まった話を聞いて)
それはすでにある人間ネットワークの再生に過ぎない
そういうネットワークにうまく入れてない人がうまく入れるようにすることができてなさげ。
それが懇親会の一つの機能だと思うのでなんとかしたい。
物理とデジタルの融合
中に人が入っているのかどうか、現地にいる人が一目瞭然
カメラに合わせて首が動くことで中の人がどこを注視しているか一目瞭然
現地の人は、自分が見られてるかどうかを容易に知ることができる
会場にポツンと置かれたPCに入ってると「体を動かせない」感が強い
目の前に何もない時に周りを見渡したい
この自然な欲求が叶えられない
3月11日
ここ数週間で体験したこと、特に「物理的に集合することなく、従来の物理的集合を置き換える体験」に関して感じたことを印象が新鮮なうちに記録しておかなければと思った。
世の中の8割では、リモートワークできる状態ではないらしいが、僕の周囲5メートルでは「物理的に集合しないことは大前提として、技術を駆使してよりよい体験を作ることに知恵を絞る月間」という感じ
僕自身は最終出社日が2月21日で、会社からは27日木曜に不要不急の濃厚接触を避けるようにアナウンスがされていて、東京オフィスで働く人の過半数はその後一度も出社していない
サイボウズは全社員がZoomのProアカウントを持っているので、こういうシチュエーションで外部との打ち合わせとかイベントの中継とかでホスト側を体験することが多くなる
昨日の未踏会議ナイトは無観客開催で、現地にいる人も拍手が禁止されていたらしい。
先日のVR空間で行われた情報処理学会の公開セッションでは、参加者が任意のタイミングで拍手ボタンを押すことができた。後者の拍手は、発表者の発表の妨げにならない程度の音量で、単なる音だけではなく頭上にエモティコン的に表示される。
マイクをオフにして聞いてる側が空気になりやすい問題を、聞いてる側のフィードバックの敷居を下げることで解決している。
昨日の未踏ナイトでは懇親会をZoomの複数ルームを使うことで代替していて、これはうまく回った部屋とそうでない部屋があったようだ。事前に入力した興味のあるキーワードによってマッチングされる仕組みが導入されていたが、入力しなかった人の部屋は見事に全滅していた。
3箇所のチャットやSNSで「人がいない」「みんなどこにいる?」という種の会話が発生しているのを観測した。
現実世界では言葉を交わさなくても「人がそこにいる」という情報の伝達が行われるが、今回の運用だとそれが伝わらなかった。
ビデオ会議で懇親会をすると、二次会会場を探さなくても任意に延長できるって話があった。しかしそれは懇親会のミーティング予約を長く取っておく必要があるのではという気もする
「あの会議室に人がいる」も「VR拍手」も、発話でない手軽な情報共有手段が必要ということだな
3月11日 (物理的に集合しないか?との友人の呼び掛けに対して)
西尾 いやー、物理的集合はちょっと難しい
立川 ……ゴゴゴ……(おや?既存の「集合」の定義が揺らぐ音が)
西尾 いやいや、世の中の8割の人はまだ揺らいでないのは知ってるけど僕の周囲5メートルでは何週間も前から揺らいでるから笑
立川 西尾さんの観測範囲は偏りがありますからw
いや違う、全ての人の観測範囲には偏りがある。。
西尾 僕の観測範囲だと多数派は「物理的に集合しないのは大前提とした上で、技術を駆使してどうすればより良い体験を作り出せるか考える月間」なので笑
3月11日 CUMOT SUD 最終講義
TAにお願いして「会場での質問が始まったら中継用マシンを発言してる人の方に向けて」という運用を試す
会場の声は問題なく聞こえたが…
会場、講師、と交互に発言し始めるとTA忙しすぎて大変そう
動かしている最中は当然画面が揺れて音声にもノイズが入る
講師がスライドを使わなくなったタイミングで会場と講師が入る画角で固定するのが正解だったと思うが、終わるギリギリになるまで気づかなくて指示を出せなかった
しゃべりがモゴモゴしてる人はそもそもビデオ会議で聞き取りにくい
3月12日
その他いくつかのソースから短期的に解決しない可能性が示唆されてるのを見て「解決するまで活動停止」が現実的でないと思うようになり、濃厚接触を避けつつ活動を止めない方法を模索し始めた
3月13日
観測範囲の問題
ブレイクアウトルーム
zoomの電話代