2019年Python商標事件
2019-07-24 「Python」が「株式会社アーク」によって商標登録されていることがSNSで話題になった 「けしからん」的な感情論ではなく事実を整理したい
「Python」で商標登録に至っている
出願者:株式会社アーク 出願日: 2017/05/25 登録日: 2018/05/11
今回の話題は「出願した」という話ではなく「登録された」という話
対象にソフトウェアは入っていない
そのため、プログラミング言語としてのPythonをPythonと呼ぶことができなくなったりはしない
対象の41群の「教育訓練研修」が、Pythonを教える勉強会などに影響を与えるのではないかという懸念がある
組織の経営管理及び事業の変革管理・業務改善・後方支援への取り組みに関する教育訓練研修,マネジメント・コミュニケーション・営業・リーダーシップ・人材育成の能力向上の教育訓練研修,マネジメント・コミュニケーション・営業・リーダーシップ・人材育成の能力向上の教育・研修に関するコンサルティング・助言・指導及び情報の提供,教育・文化・娯楽用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供
41A01 41E05 41K02
勉強会をやろうとしている人を萎縮させるのは社会のために好ましくないのでここを整理したいのが僕のモチベーション
他の群で定期刊行物・電子定期刊行物が含まれてるのも嫌なところ
出願日:
平成29(2017)年 5月 25日
先行する利用例
BeProudは2014年から業として"Python"を冠した教育訓練研修を繰り返し提供している
今回の商標は2017年の出願
登録公報発行日: 平成30(2018)年 6月 5日
異議申し立ては広報発行から2ヶ月
去年の8月に異議申し立て期間が切れている
→無効審判するしかないのか?
Pythonの商標問題についてPSF Contributing memberの私からメッセージ。商標問題が発生した場合、PSFは「PSFに連絡をしてPSFが対応するので、個別に対応はしないように」と以下のページで示しています。今回の件もPSFに私から連絡済みで確認をするとコメントをもらっています
1年以上前から、Pythonが商標申請されていることについて、PSFは認識をしています。PSFの顧問弁護士が調査をした結果、違う商標区分なので影響無いと判断されています。とのことをPSF trademarkチームから連絡をもらいました。
2021/07
2022-05-16
@nishio: 株式会社アークが出願して2017年に登録された「Python」の商標に関してPython Software Foundationが登録取消審判を起こした結果どうなったのかなと思ったら、登録が取り消されて審判費用がアークの負担になってた。今年の4月の話 https://gyazo.com/6f6500bd4eed9ab88ff4399bfd47acfd
https://gyazo.com/f97ffe8d251b109c008cc7b0341cb785
Python Software Foundationはしかるべき対応を取ることを表明していましたが、昨年の5月に不使用取消審判を請求しました(栗原がコメントしたPublickeyの記事)。不使用取消審判とは、3年以上使用されていない商標登録を第三者の請求により取り消せる権利です。無効審判ですと、不正目的の出願であること等を立証しなければならず、今回のケースではハードルが高いですが、不使用取消審判であれば、商標権者が適切な使用の証拠を提出しなければ取り消しできます。
そして、つい先日の4月20日に、株式会社アークの商標登録をすべての指定商品・役務について取り消す旨の審決が行われました。