2012ポモドーロについて
2012年にはてなダイアリーに書いた記事が、はてなブログに自動転載されたものにTwitter上で言及があったので、ここに転載しておく。
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編集
質問されてTwitterでつぶやいておいたので、流れ去らないようにここにまとめておく。
まず「25分で1ポモドーロだから8時間だと16ポモドーロか」とか言ってる人はそれが「人間は100メートルを10秒で走れるから、42キロを4200秒で走れるはずだ」と言うくらいおかしいということを理解した方がいい。短距離走の速度を長距離走で維持することはできない。そういう「1日8時間働く」を前提とした計算をしている人はポモドーロの「短時間に集中して成果を出そう」という目標をそもそも理解できていない。
これは僕流の解釈というわけではない。アジャイルな時間管理術 ポモドーロテクニック入門の前書きでも読んだことがあればすぐに誤解に気づくはずだ。こう書いてある。「1日に12ポモドーロ分はこなせるだろうと思っていました。しかし、ふたを開けてみると、せいぜい8ポモドーロが現実的なラインということがわかりました」(文意に関係ない部分を省略して引用)
あとは僕がどうやってるかの紹介。
BGM
まず、以前から作業BGMに使っていた曲を並べて28分くらいのプレイリストを作って、消音ヘッドホンで聞きながら作業している。最後の一曲はスローなものにしている。終わりが近いことをなんとなく伝える。最後の「終わりが近いことを告げる曲」は、作業をいきなりブザーで中断されてびっくりしたり、逆に集中しすぎてブザーに気づかなかったりしないために入れている。作業を切りのいい形にするのにも時間が必要だからね。
BGMがこれなので、チクタク鳴るタイマーは使っていない。チクタク音が作業の負荷で微妙に遅れたりするタイマーにいらついたことと、そもそも職場で能動的に音を鳴らすのもどうなんだろうと思ったもので。
(補足2019)
物理的なチクタクタイマーを使うのは手だが、職場で「チクタク、ジリリリ」って鳴らすのはどうかなと思ったので使っていない
スマホのチクタクアプリを試してみたが、チクタクのタイミングの遅れが気になるのでやめた
タイマー
iPhoneの標準のタイマーに無音の終了音を入れて、25分のカウントダウンにしている。残り時間が一目で見える。だけど基本的には音楽で終わりを判断しているのでなくてもいいかもなぁ。ふとタイマーを見て後1分30秒だった時とか、短すぎて何もできる気がしなくて無駄になってしまいそうだ。
タスク管理ソフト作りたい病
エンジニアは「いいタスク管理ツールがないか」とか「いっそ作ろう」とか言いがちだし、僕もかつてはそうだった。だけど、結局今は付箋と手帳で管理している。デジタルで何とかしようと試行錯誤していた間より、いまの方がすんなり作業が進んでいる。よいソフトを作りたい気持ちはわかるが、まずはどういう仕様が必要かを紙のα版を運用して洗い出してみてもよいのでは?案外紙で十分だったりするかもよ。
付箋
ちなみに付箋はなんて名前のサイズか忘れたけど、ボトル型のガムの容器に入ってる捨て紙のサイズ。一ポモドーロ分のタスクを書いて余白が残る感じ。余白があるからちょっと書き足すこともできるし、かと言ってタスクが終わった時に捨ててしまうことをためらうほどではない。ちょうどいい。
この付箋はテンポラリ変数と割り切っていて、スコープを抜けて不要になれば即座に丸めてゴミ箱にいれている。かつてもっと大きい紙を使っていた時はいらなくなったものを打ち消し線で消していたが、醜い。容赦なく捨てられるサイズになってから快適になった。
タスクリストに大きな紙を使っていると、ついつい「今集中すべきこと」以外もタスクリストに書いてしまい、で、作業中にそれが目に入って余計な処理が発生するんだと思う。全部のタスクが書いてあるリストは作業中には目に入らないところに置くべき。そのためにも「いまの作業」は小さい付箋を使う。
小さい付箋であることのもう一つのメリットとしては、書いたけども実行されてないタスクが物理的に「机の上にずっといる付箋」になって、だんだん粘着が弱って風で飛びそうになる点。無くなって困るならそれは「緊急ではないけど重要なタスク」だから腰を据えてやるべきだし、そうでないならやらなくていい。丸めて捨てちゃえ。
手帳
あとこれは妻に教育されたこと。かつての僕は手帳の月単位見開きを「未来の予定」を書くために使っていて、見る頻度もあまり高くなかった。僕よりはるかに仕事のできる妻の使い方は違って、予定だけでなく、日々「現在」のログを記録していってて、過去の日付は基本的にびっしり埋まっている。これのメリットについて。
まず手帳を開く頻度が圧倒的に増える。特に僕みたいな研究開発職は他人との予定が少ないので、あんまり予定が多くない。予定が多くないと手帳はスカスカになり、あんまり見なくなり、結果手帳に書き忘れたり見忘れたりして全く意味がない。
これは必要なものがスグに! とり出せる整理術!で学んだことだが、片付けのできる人による片付け本のテクニックは、「物には定位置があり、定期的にそこに戻していること」を仮定している。当たり前すぎて言及されないのだけど、それが大前提だ。その大前提が満たされていないのにテクニックだけ真似してもうまくいかない。ポモドーロやGTDも同じで「タスクを入れるリストがあって、定期的にレビューし更新されていること」が暗黙の大前提なのだと思う。 僕がもしもっと若い時に、大勢の人と会う仕事だとか、会議がびっしりある仕事だとかをしていれば、手帳の使い方は自然に身についたのかもしれない。不幸にも最近までその能力は身についていなかった。一昨年から妻と同じ手帳を使い始めて、使い方も真似をしてみた結果、2ヶ月前から「毎日手帳が確認され、毎日その日に達成されたポモドーロが手帳に書かれていき、過去の日付は基本的にびっしり埋まっている」という状況が発生しだした。1ポモドーロで出来る作業の見積もりもだいぶ当たるようになってきた。自分の集中力がコントロールできている感じがする。
付箋(2012-10-02追記)
明日する予定のポモドーロを1枚の付箋に書いて手帳に貼ってある(ことが多い)
朝、それを職場の机に貼る際にレビューして、必要であれば修正する。
作業をする。個々のポモドーロの付箋はポモドーロが終わり次第ガンガン捨てるが「何を完了したか」はこの「今日のタスクの付箋」にチェックを付けることで記録してある。
1日の終りに、完了したポモドーロを手帳に転記して、その付箋は捨てる。
タスクの実行中に「いまやるべきではないタスク」を思いつくことがよくある。それは別の付箋に書いて手帳に貼っておく。手帳は普段は閉じているので、タスクの実行中に別のタスクで気が迷うことを妨げられる。ポモドーロの間の休み時間や、ポモドーロのあまり時間、一日の終わりに見直して、いつやるのか、やらないのかを決める。
あまり時間(2012-10-02追記)
「デバッグとか時間を見積もれない。1ポモドーロ始めたが5分で終わった。残りの20分をどうするのか?」 なるほど。見積もりが難しいタスクに挑戦した結果、ポモドーロの一部が余ってしまうことはよくある。そういう時に何をするか。
スタートが明確で無いので、仕切り直しが必要な「まったく別のこと」をするのには向かない。だからいまやった作業と関連することをするのがよい。その中でも「時間の掛からないタスク」か「時間で区切ってよいタスク」をするのがよい。たとえば「あとで必要になるドキュメントを手元にダウンロードしておく」とか「机の上の付箋を片付ける」いうタスクはすぐ終わりそうだし、後のタスクのポモドーロの生産性が上がる。「ググって調査する」とか「参考書をパラパラ眺める」とかは明確なゴールがないし時間が見積もれないので、タイムリミットを決めずにやるとダラダラやってしまいがち。スキマ時間に向いている。
過去の記事
ポモドーロ始めました
1年半前の記事。始めたばかりの日のフレッシュな日記。この頃に比べると「自分が原因でポモドーロの最中に気が散ってしまうこと」はかなり減った。
ポモドーロ再考
開始後3ヶ月の記事。タイマーを回さずに作業をしてしまう失敗はまだなくなってない。結局タイマーを回さないミスの計測をやってないせいだろうか。この記事もタイマーを回していない。
続続ポモドーロ
気乗りのしないタスクでも1日1個は進めていく、という効果。新しく発生したタスクが緊急でない場合は即座に「今日やる」リストに入れないことに重要な意味がある。
ポモドーロとPDCAサイクル
「今日やる」宣言は1日の最後に「やったか?」というチェックが走る。タスクリストに入れるだけではその日にやらなくてもチェックが走らない。
ポモドーロはじめました - Togetterまとめ
nishio さんと yoshiori さんのポモドーロ話 - Togetterまとめ