100人中100人が欲しがるものの提案
未踏ジュニアのチャットで「100人中100人が欲しがるものの提案は通るか」という話題になって、面白い話題だと思ったのでここに僕の考えを書いておく。 なお未踏ジュニアは採択基準を統一せずメンターの裁量で多様な軸での評価を行うので、ここに書かれてることはメンターの共通見解ではなく西尾個人の考えである。(see 多様なメンター、多様な基準) 提案書の段階で「このソフトは100人中100人が欲しがる」と書かれていた場合
僕は「実際に100人中100人が欲しがるかどうかは市場に出してみるまでわからない」と思う
なので僕はその主張の部分を「根拠のない主観である」と判断して読み飛ばすと思う
面接などで質問する時には他の部分を掘り下げを優先すると思う
もし仮にこの部分を掘り下げるなら「『100人中100人が欲しがる』と考える根拠は何ですか?」と聞くだろう
聞いて、もし具体的な事実が出て来たら「そういうことは提案書に明記した方がいいよ、今の書き方だと根拠のない妄想に見えちゃうよ」とフィードバックするだろう
ありがちなミス
0円なら100人中100人が欲しがる
例えばメイプルリーフ金貨
0円ならほとんどの人が欲しがる
2〜3万払えば誰でも手に入る
2〜3万払って金貨を手に入れた人はほとんどいない
金銭感覚: 金銭と時間の交換比率に関しては、学生と社会人では感覚がずれがち 例えば「1万円払うか、5日間作業をすれば得られるもの」があった場合
年間の小遣いが6万円の学生にとって「1万円は2ヶ月分の小遣い」
「1万円は高い、夏休みに5日作業する方がいい」と考えがち
月に20日働いて20万の給料を得ている社会人にとって「1万円は1日分の給料」
「5日作業するのは大変、1万円払う方がいい」と考えがち
(話を簡単にするために生活費などを無視してる。実際には生活費が引かれて20万の人はもっと学生に近い判断になる。一方で月給80万の人にとっては1万円は2〜3時間である)
学生は金銭が乏しく時間が豊富なので自分の作業時間を安く見積もりがち
その結果
お金を払って手に入れる選択肢を無視しがち
自分が0円で労働をすることによって安く提供する提案をしてしまいがち
「こういうものがないので作ります!」「いやそれお金を払えば普通に買えるんだけど…君がお金を払う選択肢を無視してるだけでは?」