詐欺犯罪危害防制條例
台湾詐欺防止法
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台湾で進行中の「詐欺犯罪危害防制條例(Fraud Prevention and Control Act)」の策定では、デジタル発展部(MODA)と vTaiwan が共同で実施したオンライン討議 — 台湾史上最大規模の “mini-public” が、市民から寄せられたコンセンサス意見を条文(第30〜32条)案に直接反映させました。英語で詳しく経緯を報じた CommonWealth Magazine の記事が、最も網羅的かつ一次情報に近いソース です。
Using AI to Strengthen Democracy: Audrey Tang on Taiwan's Global Role|Culture|2024-10-21|web only
200,000 人以上が pol.is で意見表明し、オンライン/オフラインの混成ワークショップで討議。
生成された合意文が「詐欺犯罪危害防制條例」草案の第30〜32条に採用。
台湾が 2002 年から推進する熟議型民主の中で「史上最大のオンライン mini-public」と位置付け。
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2024年7月31日に公布された台湾の 「詐欺犯罪危害防制條例」(Fraud Crime Hazard Prevention Act, 以下「詐防條例」) は、オンライン詐欺広告の発信源である大規模広告プラットフォームに重いKYC義務と迅速な削除責任を課すことで、Facebook や YouTube で横行していた著名人を装った偽広告をほぼ一掃しました。この法律は、2023年末に 200 k 件の無作為 SMS から募った 450 人の市民を45室に分け、AIが進行役を務めたオンライン討議でまとめられた提案を行政院が採用し、翌年「打詐四法」の一つとして立法院で可決されたものです。
Audrey Tang on “Misinformation” - by Yascha Mounk
参加型プロセスから立法まで
2023年、偽広告問題をテーマに200 k 件のSMS招集 → 応募者から統計的に代表性を持つ450 人を抽出 → 10 人×45 室でAIファシリテーションによる討議を実施。
討議では「広告主のデジタル署名義務」「被害額をプラットフォームが賠償」などが合意事項となり、これをもとに行政院が2024年5月9日「反詐欺パッケージ」を閣議決定。
立法院は同年7月12日に法案を可決し、7月31日に公布。
適用対象――「一定規模のネット広告プラットフォーム」
月間アクティブユーザー等を基準に MODA が指定し、初回リストには Google/YouTube・Meta(Facebook/Instagram)・LINE・TikTok の6社が指名された。
海外事業者でも台湾国内の法定代理人設置を義務化。
4. 核心義務
KYC/身元確認
広告主・出資者の身分・居住地域を検証し、広告に同時開示
24時間以内の削除
政府通報または明白な詐欺広告は24時間以内に削除・停止 子法「通知期限基準」
透明性報告: 年次の「詐欺防制透明度レポート」公表
法定代理人: 台湾在住の代表を届け出、違反時の送達責任を明確化 条27 ②
罰則: 違反1件につき 50 万〜1000 万 NTD、重大違反は最⼤1億 NTD+アクセス遮断
ひとことまとめ
この法律は「政府が内容を検閲せず、プラットフォームに本人確認と被害補償責任を課す」という設計で、市民討議の合意を迅速に制度化した点が画期的です。今後は運用の厳格さと他サービスへの波及対策が成否を左右します。