統計学を哲学する
https://gyazo.com/f2b25b5183e8301df71ab4a57d9a0bd8
大塚 淳(
@junotk_jp
)
読了。これはとても良い本でした!
「哲学」の本ですが科学における統計の基礎的な話から入り、分布の数式や検定やベイズ推論の話なんかも、サボることなく(なんとなくの話にすることなく)記述しながら、その意味論や認識論……つまりそれが僕らの(真理)探求や世界認識にとって、どういう意味を持つのかを、科学哲学の歴史的文脈に位置づけながら展開して、深層学習まで至る。
文理を「ちゃんと跨いだ/繋げた」本。
科学の営みは統計に基づいているのに、なかなかそこの部分を込みにした、科学哲学の議論って、耳に入ってこないなぁ、みんな命題論理的な世界観での議論に終止しがちだよなぁ、となんとなく思いがちだったんんですが、その部分を丁寧に埋めてくれる一冊だと思います。
p-hackingの話なんかもわかりやすくとりあげ、それの背景にあるそもそもの仮説検定が作られた哲学的なバックグラウンド的なところの説明もあり、わかりやすかった。
このあたり含めて、大学/研究機関の導入教育で教科書とされても良い本。
気にはなりながらも積んでいて、丸山さん(
@rmaruy
)に激推しされたのをきっかけに、読んだんですが、「丸山さん、激推し、ありがとう」です。(ビブリオバトルじゃないですが、人間による推薦は大切ですね)
ところで以下、若干自分語りですが……
自分語り① 科学発見と集合的予測符号化
そういう議論の中で、科学的発見の活動それ自体を統計的モデリングとして科学哲学の文脈の中に位置づける話は、ある意味で僕の現在のもわっとした議論を具体化してもらえるというか、なんというか、とても大切なピースに思えました。(近々、ご本人と、直接議論します)
自分語り② 大塚センセイと僕の歴史
実は先日気づいたんですが、大塚さんと僕は17年ほど前に出会っていたんですよね。
僕が学位取得後、
「構成論的アプローチはいかにして科学の一部を占められるのか? 僕のやっていることはもしかしたら非科学なんじゃないか? (´;ω;`)」と悩みの最中にあった時に、ひとり「構成論的アプローチ」について発表しに科学哲学会に発表し行ったことがあったのですが(当時はどえらいアウェー感を覚えましたw)、その時に、僕の発表に(ほぼ)唯一興味を持って声をかけてくださったのが当時学振の研究員だった同世代の大塚さんでした。
第6章「構成論的アプローチ」の中に書いています)
当時は第3次AIブームよりずっと前で、マジョリティの視線はまるでAI・ロボティクスい基づく人間理解などには向いていなかったわけですが、科学におけるモデル論やシミュレーションの哲学との関係なんかをコメントいただき、(たぶん)ランチしたのを覚えています。
その日は意気投合したのですが、まだ僕の研究史的にも、記号創発ロボティクス前夜というところで、自分自身の研究を立てられていなかったこともあり、それ以降、コラボレーションなんかを維持することができず、それっきりでしたが、ずっと気になっていました。
(実はお名前もちゃんと覚えていなくて、ふんわりとしたエピソード記憶だけ残っていました)
「大塚さん、もしかして、あのときの、あの人ですよね……?」
「谷口さん、あ、やっぱりそうですよね……!」
みたいな謎の再会を果たしていました。
(これが人生の面白さぞ~~~~~~~~)
長くなりましたが、未読の方は是非読んでいただいて、自身の研究や勉強の位置づけ、仮説生成や統計処理で気をつけないといけないこと、また深層学習に基づくAIがこれからの私たちの科学発見やその認識に与える影響、これからの「知識観」なんかに思いをはせていただければ幸いです。
https://pbs.twimg.com/media/GLpYS2XbUAA90B5?format=jpg&name=large#.png
junotk_jp どうもありがとうございます!谷口さんにそう言っていただけるのは本当に嬉しく、書いたかいがあったなーと思います。また、15年越しにご一緒できそうでワクワクしてます・・・! yosss66 うわ〜こんな本!現役の時に欲しかった〜!って思ったらビブリオバトルのタニチューさんではないですかやっぱりもういらないかもしれないけど買ってみます♪