私と汝
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真の自己は、自己の抽象的概念の中ではなく、私と汝の関係の中に見出されなければならない。私は自己の底に絶対の他者である汝を見出し、逆に絶対の他者の中に自己を見る。これが真の自己意識の基礎となる。 この私と汝の関係は、人格性の基盤となり、私たちが存在している現実世界の基礎を提供する。自己が出会う絶対の他者は、単なる物質的自然や客観的精神ではなく、自己に呼びかけ、自己を限定する他の人格である汝なのだ。
私と汝の出会いは歴史の中で起こる。個人的自己は常に歴史的に位置づけられ、限定されている。歴史は私と汝が出会う場所である。
アガペの意味での愛、すなわち他者のための自己犠牲的な愛は、真の人格性にとって鍵となる。アガペにおいて、人は自己に死んで他者の中に生きるのである。これは、自己の拡大を求める獲得的な愛であるエロスとは対照的である。 価値と文化は、このアガペの私と汝の関係に基づいていなければならない。価値は歴史的な私と汝の出会いを通して創造されるのであって、その基礎ではない。神は抽象的な価値の中ではなく、歴史の中で、絶対の汝の呼びかけの中で自らを啓示するのである。
要約すると、この文章は、真の自己と現実世界は、人格の歴史的出会い、すなわち私と汝、そして自己に死んで他者の中に生きる自己犠牲的な愛(アガペ)に基づいていると論じている。この具体的で人格的な出会いこそが、自己、精神、価値の抽象的概念ではなく、人格性と現実の基礎なのである。