民意の非実在性
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ルソー:ルソーは「一般意志」という概念を提唱しましたが、これは個々の意思の合計ではなく、共同体全体の利益を代表する抽象的な意思です。つまり、各人の意見が単純に集約されても、必ずしも「民意」にはならず、むしろ民意には不確実性が伴うことを示唆しています。多数決や統計によって数値化される「民意」には、実際の民衆の意思とは別の偏りが生じうる点に疑念を持っていたと解釈できます。 タルド:「世論」という概念を重視したタルドは、世論とは必ずしも実体を伴わない集団的幻想と捉えました。タルドによれば、民意や世論はメディアやコミュニケーションによって形成されるものであり、各個人の独立した意思ではなく、社会的な影響によって作られたものです。このため、民意は人々の意思の真の反映というよりも、集団の中で生まれた一種の幻想に近いとされます。 これらの思想は、民意が必ずしも実体を持たず、個々の意思の合計や統計以上の影響要因によって形成されるものだと示唆しています。