未踏ジュニアのScrapboxを統計する
未踏ジュニアでは2021年から全体で共有のScrapboxプロジェクトを使っている。
現時点(2023-12-05)、UI上から確認できる値は下記のようになっている
156メンバー
2950ページ
12175リンク
しかしこれを見てもどのような現象が起きているのかは全然わからないよなと思ったので、各行の作成日時を見て週ごとの追加行数を集計した
週ごとの追加行数
現時点で125732行があり、週ごとにまとめると追加された行数は下記のようになる
https://gyazo.com/26bced5baf79a91aaf1af1717c8d7edd
大きく分けて3つの塊があるのは、2021年からの3年間それぞれの期間
だいたい5月ごろから活動して11月ごろに終わるのがわかる
1週間のうちに6000行前後が追加されている
ブースト会議は、採択されたクリエータたちが、自分を採択したメンター以外の人たちに「自分はこれからこういうプロジェクトをやっていくよ!」と発表し、質疑をするイベント
過去の未踏ジュニアでは口頭プレゼンテーションをして口頭で議論をする形だった
2021年から「動画でプレゼンテーションを作りScrapboxに貼る」「1週間の間に各参加者がそれを見てScrapboxにコメントや質疑を書く」になった
この結果、各クリエータごとに自分のプロジェクトに対して数百行の質疑ログを得ることになる
音声でのフィードバックは緊張やキャパシティあふれで取りこぼしてしまいがちだが、テキストでのフィードバックなので消えない、落ち着いてゆっくり読むことができる
また時間が経ってから、たとえば成果発表会の前にプロジェクト初期の気持ちを振り返ることができるし、翌年以降のクリエータが参考にすることもできる
物事が計画通りに進まないことはよくあることで、その時々で柔軟に変更していくものだ、という肌感覚を事実の集積によって伝えることができる
8月頃にあるピークは中間合宿
これもブースト会議同様に動画を投稿してコメントをつける形式で行なわれる
2023年の期間終了のあたりにあるピークは成果報告会
成果報告会のピークは2021年2022年にはあんまり明確ではない
そもそも成果報告会はこのScrapboxプロジェクトの外の人に向けて行うものなので、Scrapbox上でピークが出ないこと自体は不自然ではない
2023年は発表の後の口頭での質疑応答時間がなくなった
それに関連して卒業生をアルバイト雇用してYouTubeのコメントを転載していた
このページで実際の発表を見ながらクリエータたちがワイワイする場として使われたのでピークが立ったのだろう
週ごとの書き込みユーザの数
https://gyazo.com/51fd9b80125a413cb22c625bbc142190
イベントなどのピーク時には50人前後が活動している
その他の期間中は20人前後
のべ131人が書き込んでいる
まずイベント時に関して
採択されたクリエータ15人前後とメンター10人前後が確実に書き込むので25人
残りの25人は未踏ジュニアの卒業生や、ゲストで参加しているIPA未踏事業の卒業生
後者の人たちが主体的に関わってくれているのはとてもありがたいこと
前者は結局のところ「イベント運営による強制力」だからね
後者の、なんら強制力を受けてない人たちがみずからの興味や「コミュニティをよりよくしていきたい」という気持ちで盛り上げてくれているので助かる
通常時に関して
採択クリエータとメンターで25人くらいいるのにウィークリーアクティブユーザが20人前後なのはなぜか?
これは意外に思われるかもしれないけど、期間中にプロジェクトをどう進めていくかは採択されたクリエータとメンターが話し合ってメンターの裁量で最適と判断した方法で実施する
なので毎週の議事録をScrapboxに書かないプロジェクトもある
ざっくり半分くらいかな?
これはまあ、議事録を義務化などしないでいいんじゃないかなぁと思っている
ちなみに僕は議事録を残す派
口頭で話しただけでは言いたいことがクリエータに伝わらないし、議事録をまとめてる過程で「僕がクリエータの話を勘違いしていた」とか「指摘すべきことを見落としていた」に気づくことがあるから、個人的にはとても有益だと思う
ただ、これを苦にしないかどうかはメンバーの個性による、つまり支払いコストがチームによって異なる。ぼくがメンターのプロジェクトに関しては、僕にとってのコストがかなり安いので費用対効果が良いということ
これに関しても「議事録をクリエータが書くパターン」や「事前にクリエータが報告内容を書くパターン」も試したことがあるのだけど、結局のところクリエータそれぞれ個性が異なるので、基本的には僕が書く形になってる
採択期間外について
10人以下で細々と更新が起きている
意外と「まったく更新がない週」がない
何が書き込まれてるのかな
確認してみたら、たとえば
おすすめYouTubeチャンネルに新しいおすすめが追加されてたり
参考になるスライドが共有されてたり
おすすめYouTubeチャンネル、文脈なしにチャットに投稿することは心理的ハードルが高いけど、すでにリストがあるときにそこに加筆するのはハードルが低くていいですね
(注: Scrapboxの仕様では行に作成者IDではなく更新者IDがついている形なので、作成後に更新された場合には手軽に作成者を確認できなくなってしまう。今回はざっくり全体の傾向を見るだけなので大きな影響はないだろうと判断した)