文法の呪縛
哲学の個々の概念は、恣意的なものでも自然に生まれ育ってくるものでもなく、他の概念との相互関係や近縁関係のもとで成長するものである。 ...
インド哲学、ギリシア哲学、ドイツ哲学には、驚くほどの〈家族的な類似性〉がみられるが、それはこのことからすぐに説明できる。 ...
言語の類縁性が存在するところにあっては、文法の基本的な考え方が同一であるために――ということは、類似した文法の機能が無意識のうちに支配し 導くということだ 哲学の体系はいつも同じような形で発展し、配置される。...
ウラル・アルタイ語圏(ここでは主語の概念の発達がきわめて遅れている)の哲学者たちはおそらく、インド・ゲルマン語圏の哲学者たちや、イスラーム教徒たちとは違ったまなざしで「世界を」 眺めるだろうし、もっと違う道を歩むことになるだろう。特定の文法の機能のもたらす呪縛は究極のところ、生理学的な価値判断と、人種ごとに定められた条件のもたらす呪縛にほかならない。