教会の権威失墜と似た構造が、科学の権威失墜という形で発生するのかもしれない
2024-11-08
望遠鏡などのいくつかの発明によって、結果的に当時正しいとされていた教会の教義の価値が失墜したのと同じように、LLMなどのいくつかの発明によって先日まで疑いなく価値が見出されていたものの価値が失墜するのかもしれない
それは「客観性」かもしれない
今まで客観だと思っていたものは、大量のデータを「そのまま」扱うことができないホモサピエンスが、なるべく恣意的に歪めないように細心の注意を払いつつ「主観的解釈によって情報を取捨選択して要約したもの」にすぎない
この「細心の注意を払う」が職人技なので、成果物に価値が見出されていた
= 雑に要約したものは価値が低い
「客観である/ない」だと考えられていたものは、「よりよく要約された価値の高い主観」と「雑に要約された価値の低い主観」
そして今後AIが「ホモサピエンスが作ったものよりも、さらに価値の高い主観」を安価に提供してくるようになる
現時点で「AIが作った要約」の質が「人間が頑張って作った要約」の質を超えているかどうかに関しては議論があるが、費用対効果の観点では議論の余地はない
1000件の意見を読んでどんな意見があるかをざっくり解説することは人間にとってはとても時間がかかるが、AIはTalk to the Cityなどの形で短時間のうちに実現することができる
そうなると今まで客観的な知見を生み出すことによって社会に価値提供をして、それによって社会から支払いを受けていたような「要約職人」が価値を失う
自動編み機が生まれて靴下職人が価値を失ったのと同じ
教会の権威失墜と似た構造が、科学の権威失墜という形で発生するのかもしれない
関連
主観か客観かではなく、一人の主観から大勢の主観へ