商売は真剣勝負
「僕は事業というものは、大小の差があっても、やっただけは成功するものだと根本に考えている。だからよく世間では『商売というものは、もうける時もあるが、損する時もある。損したり得をしたりしているあいだに成功していくものだ』と考えているが、僕はそうは思わんし、そういう見方は誤っていると思う。商売というものは真剣なものである。真剣勝負と一緒だ。真剣勝負において、首をはねたり、はねられたりするうちに勝つというようなことはありえないのと同じように、商売も活動するだけそれだけの成功は得られなくてはならない。もしそうでなかったならば、それは環境でも、時節でも、運でも、なんでもない。その経営の進め方に当を得ないところがあるからだと断じなくてはならぬ。それを商売は時世時節で、損もあれば得もあると考えるところに根本の間違いがある。商売というものは、不景気でもよし、好景気であればなおよし、と考えねばならぬ。商売じょうずな人、真の経営者は、不景気に際して、かえって進展の基礎を固めうるものであることは、過去の幾多の成功者が現実にこれを示していることを知らなければならぬ」