企業と国家
「大臣が直接交渉します」「交渉したいなら首相を出せ」っていう国家と企業のどちらが強いかのマウンティング合戦は企業の勝ちで決着した
2021/4/18
菅義偉首相は、米製薬大手ファイザー社のアルバート・ブーラ最高経営責任者(CEO)との電話会談で、日本が新型コロナウイルスワクチンの追加供給を受けることで実質的に合意した。
2021.3.8
米製薬大手ファイザーとの交渉には霞が関の常識は通用せず、日本が顧客にもかかわらず「首相を出して」と求めてくるなど、忖度(そんたく)のない国際社会の論理に翻弄された。
ワクチンの総合調整役である河野太郎行政改革担当相が「私が直接、ファイザーと話をする」と乗り出した直後、相手は「交渉には首相を出してほしい」と逆指名し、一閣僚は相手にしないとの強烈な意思を示した。
「これではワクチンは来ない」。政府内でもブラックボックスといわれたファイザーの契約書の核心を河野氏が知ると、すぐさま電話を取った。状況の報告を受けた首相は「何とか頑張ってほしい」と返すのが精いっぱい。日本への供給は「ベストエフォート(最大限の努力)」とされていた。河野氏には日本の想定通り送ってもらえる確約がない契約だと映った。