他人が得をするのが許せない
スパイト行動
経済実験におけるスパイト行動 (酒井 泰弘教授退職記念論文集)
著者: 大和 毅彦
出版者: 滋賀大学経済学会
雑誌: 彦根論叢 (ISSN:03875989)
巻号頁・発行日: no.第357号, pp.47-65, 2006-01
(リンク切れ https://shiga-u.repo.nii.ac.jp/index.php?action=repository_action_common_download&item_id=7857&item_no=1&attribute_id=19&file_no=1&page_id=13&block_id=21 多分上記だと思う)
https://twitter.com/tacmasi/status/1392439972808982528?s=21
https://twitter.com/tacmasi/status/1392441175886372870?s=21
意地悪行動云々についてのネタ元と思われるのは、阪大(2007当時)のSaijo他(2007)の研究です
EconPapers: The Spite Dilemma Revisited: Comparison between Chinese and Japanese
内容は要約にある通りで、
「Saijo and Nakamura (1995)にて筑波大学の学生を集めて行ったのと同じ実験を、2006年9/14-15に上海交通大学の学生を集めて行い、これらを比較した結果、2006年の上海交通大学の学生被験者のほうが協力的だった」
というもの
1990年代前半の筑波大学学生と2006年の上海交通大学学生との比較というと、国の違いよりは時間の違いのほうが影響大きそうな気もしますし、2021年の現在に実施したらまた違った傾向が出そうな気もします
同様に、日本・米国・オランダ・スペインの学生間での比較を行っているのがこちら。
Brandts, Saijo, and Schram の2004年の論文ですね
How Universal is Behavior? A Four Country Comparison of Spite, Cooperation and Errors in Voluntary Contribution Mechanisms by Jordi Brandts, Tatsuyoshi Saijo, Arthur J. H. C. Schram :: SSRN
・国(日米蘭西の4カ国)の間にそう違いはない
・他の研究で観察された日本人の意地悪行動は、本研究ではみとめられなかった
・4国とも協力のほうが意地悪よりも強い動機づけがある
平等に貧しくなる
意地悪行動
tacmasi 大勢の方はこの記事を読んで「大阪大学の研究グループが『日本経済の低迷は日本人の意地悪さが原因だ』という主張をした」という印象を抱かれると思いますが、
元ネタと思われる研究(2008年)にはもちろんそんな記述はないし、
実はニューズウィークの元記事にも(見出し以外に)その記述はないんですね
>Newsweek_JAPAN: 日本経済、低迷の元凶は日本人の意地悪さか 大阪大学などの研究で判明……<十分な内需があるはずの日本が、他の先進国のように成長できない大きな要因は、日本人のメンタルにあった>
https://newsweekjapan.jp/kaya/2021/05/post-143.php…
#経済 #消費税 #経済学 #新型コロナウイルス
tacmasi ニューズウィークの元記事はこれ
見出しの内容を主張しているのは記事の筆者(加谷珪一氏)であって、阪大の研究Gではないんですよね。
実は本文にも阪大の研究グループが主張したとは記載されていない
>
日本経済、低迷の元凶は日本人の意地悪さか 大阪大学などの研究で判明
https://newsweekjapan.jp/kaya/2021/05/post-143.php…
tacmasi にも関わらず、阪大の研究グループが当内容を主張したような印象を抱かせることに成功しているわけですね
狙って書かないとこうは書けないですよね
tacmasi 意地悪行動云々についてのネタ元と思われるのは、阪大(2007当時)のSaijo他(2007)の研究です
>
EconPapers: The Spite Dilemma Revisited: Comparison between Chinese and Japanese https://EconPapers.repec.org/RePEc:osp:wpap:osp:wpaper:07e004#.YJu5MR50r2w.twitter…
tacmasi 内容は要約にある通りで、
「
Saijo and Nakamura (1995)にて筑波大学の学生を集めて行ったのと同じ実験を、
2006年9/14-15に上海交通大学の学生を集めて行い、
これらを比較した結果、
2006年の上海交通大学の学生被験者のほうが協力的だった
」
というもの
tacmasi ここで上がっているSaijo and Nakamura (1995) はこれですね
full accessができないのでなんともわかりませんが、
比較対象の筑波大の学生を集めて実験したのはまあ1993年か1994年かというところでしょう
tacmasi 個人的には、
1990年代前半の筑波大学学生と
2006年の上海交通大学学生との比較というと、
国の違いよりは時間の違いのほうが影響大きそうな気もしますし、
2021年の現在に実施したらまた違った傾向が出そうな気もしますが、
tacmasi ともあれこの研究は
マクロ経済の低迷原因を云々するたぐいの研究ではないし、
そういう主張はされていないことは
明らかでしょう。
tacmasi 同様に、日本・米国・オランダ・スペインの学生間での比較を行っているのがこちら。
Brandts, Saijo, and Schram の2004年の論文ですね
>
How Universal is Behavior? A Four Country Comparison of Spite and Cooperation in Voluntary Contribution Mechanismslink.springer.com
How Universal is Behavior? A Four Country Comparison of Spite and Cooperation in Voluntary Contri...
Public Choice - This paper studies behavior in experimentswith a linear voluntary contributionsmechanism for public goods conducted inJapan, the Netherlands, Spain and the U.S.A.The same...
tacmasi SSRNに上がっていましたね
こちらはAbstractの時点で
・国(日米蘭西の4カ国)の間にそう違いはない
・他の研究で観察された日本人の意地悪行動は、本研究ではみとめられなかった
・4国とも協力のほうが意地悪よりも強い動機づけがある
とありまして
>
https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=254454…
tacmasi 実験はcomputerized labで実施され、
日本:大阪大学
スペイン:ポンペウ・ファブラ大学
米国:アリゾナ大学
オランダ:アムステルダム大学
で実施されたとか。
tacmasi 被験者の属性が国によってだいぶ偏りが出てはいるけども
tacmasi とはいえこちらは先のような15年前との比較とかではなく
同時期実施なので、
当該時点での被験者間の差を見るという目的としては
こちらのほうが妥当でしょうなと