中国政府が企業の経済活動を統制し、政府の意向に従わせる力
gpt.icon中国政府が成功した企業を直接・間接的に統制・接収した具体的事例として、以下のような事例があります。
2020年、アリババグループの創業者であるジャック・マーが、中国の金融規制に対する批判的な発言を行った後、中国政府は彼の企業に対して圧力を強めました。直後に、アリババ傘下の金融会社「アントグループ」のIPO(新規株式公開)が政府の規制強化を理由に中止されました。その後、中国政府はアントグループに対し、金融持株会社への再編や事業制限を要求し、アリババ全体にも独占禁止法違反の疑いで多額の罰金を課しました。この一連の行動は、中国政府が企業の経済活動を統制し、政府の意向に従わせる力を持っていることを示しています。
アリババと並ぶ中国のテック大手であるテンセントも、中国政府の規制強化の対象となっています。2021年、ゲーム事業で多くの利益を上げていたテンセントに対し、中国政府は未成年のゲームプレイ時間を制限する規制を導入しました。この規制によってテンセントのゲーム事業は大きな打撃を受けました。また、テンセントの音楽配信事業についても独占禁止の観点から規制されるなど、政府の意向が企業戦略に直接影響を与えています。
2021年に中国政府は「共同富裕」を掲げ、富の再分配を強調する政策を発表しました。この方針を受けて、多くの大企業が政府に協力する姿勢を見せ、公益への多額の寄付を行いました。たとえば、テンセントは500億人民元(約8,500億円)以上を「共同富裕」プロジェクトに寄付すると発表しました。このように、企業は自発的に寄付を行っているように見えますが、実際には政府の意向に従い、富の再分配に協力せざるを得ない状況にあります。
中国の大手配車サービス企業ディディ出行は、2021年にアメリカでの上場を敢行しましたが、その直後に中国政府から厳しい制裁を受けました。中国政府はディディ出行が個人情報保護の規制に違反したとして、新規ユーザーの登録を停止させ、アプリストアからの削除を命じました。このように、政府の許可を得ずに海外での上場を行う企業に対し、中国政府は厳しい対応を取ることが明らかになりました。
5. 国有化や経営陣の再編
中国政府は、特定の業界で戦略的重要性を持つ企業に対して国有化や経営陣の再編を行うこともあります。たとえば、2021年には教育関連企業に対する規制が強化され、営利教育のビジネスが禁止されました。この規制によって、教育関連の上場企業の株価が急落し、多くの企業が事実上経営再編を迫られました。
これらの事例は、政府が成功した企業の活動に直接的な影響を及ぼし、企業が政府の意向に従わなければならない構造を示しています。政府は企業を接収・国有化しなくとも、厳格な規制や政策変更によってその運営方針に影響を与えることができ、企業もそれを受け入れることでビジネスを継続しているのが現状です。