ニーチェ、芸術としての力への意志
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予備考察
1 形而上学的思索家としてのユーチェ
a 根本的問いと主導的問い。ニーチェの根本的立場をまず「力への意志」として特徴づけること。
b ニーチェの思惟と対決することの必然性。
第一部 力への意志。ニーチェの思索家としての根本的立場の形態、およびその伝統的形而上学からの来歴。
第一章 主著の成立と構成。ニーチェの形而上学的根本的立場。
2 著書『力への意志』
ニーチェの主著の伝記的位置。
遺稿断片の編纂。大型八つ折判と歴史的批判的全集。この講義での引用の仕方。
ニーチェの書簡に見られる成立史への証言。
諸プランと草案。三つの根本的立場の最初の現われ。
有るものの根本的性格としての力への意志、そして有の本質としての永遠回帰。最も重き思想、時として思惟された有――しかしそれは 「有と時」についての問いとしては思惟されていない。
「力への意志」を主眼目として経めた予備的仕事の編纂。アフォリズム配列の恣意性。
5 「主著」の構成
反復。有の問い
6 反転としてのニーチェの思考法。
第二章 ニーチェの意志説
7 伝統的形而上学における、意志としての有るものの有。
8 カヘの意志としての意志
有るものの特定の領域から意志概念を導き出すことの不可能性。こころの能力としての意志。原因としての意志。
意欲を、自己への決意、自己を超え出て......の上に主人であることとするニーチェの説明。 激情、情熱、および感情の規定に際する心理学と生理学の無効性。
力への意志を激情の根源的形式とする規定の地平における、激情の二つの本質要素
第一の本質要素、すなわち興奮状態、自己を超え出ること
第二の本質要素、すなわち発作としての激情
感情(気分づけられていること)としての意志、すなわち自らを開示する開放性
創造するもの、破壊するものとしての力への意志。ドイツ観念論哲学における、有の本質要素としての否定的なるもの。ショーペンハウアーの観念論非難
有の規定としてのユーチェの力概念と、デュナミス、エネルゲイア、エンテンケイアについてのアリストテレス説
第二部 芸術と真理。ニーチェの美学とプラトン主義の伝統
第1章 ニーチェの生理学的美学の輪郭
12 哲学の根本的問いと主導的問い。芸術と真理についての問いの連関の展示
13 芸術についての五つの命題。芸術に関するニーチェの主要命題に対するそれらの関係
カヘの意志の最も透明かつ周知の在り方としての芸術
創造者、生産者の側からの芸術把握
すべての有るものの根本的生起としての芸術
ニヒリズムヘの反運動としての芸術
真理に対する芸術の価値の優越
14 美学史上の六つの基本的事実
芸術の本質への哲学的省察を呼ぶ名称としての「美学」
六つの基本的事実
偉大なギリシア芸術の時代における美学の不必要性
プラトンとアリストテレスの思惟における芸術への問いの起源。質料ー形式、テクネーという基本概念 近代の始まり、文化現象としての芸術
ヘーゲルの『美学講義』。過ぎ去ったものとしての芸術
十九世紀の美学。リヒァルト・ヴァーグナーの綜合芸術への意志
ニヒリズムヘの反運動としてのニーチェの「芸術の生理学」
15 美的根本状態としての陶酔
ニーチェ美学の葛藤の解明。ニヒリズムヘの反運動としての芸術、および生理学の対象としての芸術。
アポロ的なものとディオニュソス的なものを陶酔の種類とする規定の成立について。
身体を持ちつつ気分づけられていることとしての陶酔。
陶酔一般の本質。ヘルダーリンとニーチェにおけるアポロ的なものとディオニュソス的なものの対立。
芸術にとっての陶酔の不可避性についての問い
16 美の本質の解明
美についてのカントの学説。ショーペンハウアーとニーチェによるその誤解
規定的、規準的なものとしての美
17 基本的美的態度の在り方。創造と感受。
芸術的創造の「理想化」としての特徴づけ
創造の追実現としての観照と感受
18 形式を作る力としての陶酔
有るものに対する根源的態度の状態性としての形式
論理的感情。形式法則の生の状態性への還元
要約と展望。美的事態の説明にとって主体的・客体的の区別が役に立たないこと
第二章 ニーチェ美学の構造と基礎づけ
19 偉大なる様式。陶酔と美、創造-享受と形式のあいだの相互連関の一体性
ニーチェ美学にとっての偉大なる様式の意味
ニヒリズムヘの反運動としての芸術という規定と、生理学的美学の対象としての芸術という規定の必然的表裏一体性
厳格な様式。擬古典主義による誤解からの古典的なものの救出
混沌と法則の一体性としての偉大なる様式。音楽と偉大なる様式
生の最大の刺激剤としての芸術。芸術についての主要命題の解釈
反復
偉大なる様式の諸基本条件の解明。古典的ーロマン的、能動的-反発的、存在-生成という諸対立を手がかりに
ニーチェ美学の頂点、力の最高の感情としての偉大なる様式。これまでの思惟の過程への顧視
20 芸術に関する五つの命題の根拠づけ
第三章 美学と真理への問いの関連
21 真理と芸術のあいだの驚きを触発する葛藤。真理への問い
真理への問いのための準備的な熟慮
基本語の歴史性
基本語の意義の主要軌道。本質的軌道と本質を逸れた軌道。本質を普遍的なものと等置することの防止
真理問題が現われないこと。真理の認識領域への帰属性
22 ニヒリズムの基本体験に立ってのニーチェのプラトン主義解釈
プラトン主義と実証主義の認識解釈
転倒されたプラトン主義の哲学的根本的立場
西洋歴史の基本的事実としてのニヒリズム
神の死についてのユーチェの言葉
ニヒリズムと偉大なる政治
キリスト教に対するニーチェの立場
真なるものの、感性的なものとしての定立
23 芸術と真理の葛藤を明瞭にするため、プラトン哲学に立ち帰らねばならないことの必然性
第四章。プラトンの芸術哲学
24 芸術と真理の関係に対するプラトンの省察の周辺と連関
反復
25 プラトンの国家。芸術(ミメーシス)の真理(イデア)からの隔たり。
プラトン的イデア思考の方法。認識者が個物とイデアのあいだに自己自身を定置すること ミメーシスの本質追究
手工職的製作
芸術家の製作
反復
創作、製作および模作。現前性と有の三つの仕方。真理の唯一性と不変性
ミメーシスと個別の有様(観点)
予備考察。葛藤の本質の現象学的規定
美と真理へのプラトンの問い。対話篇『美について』
有の露呈としての美
人間の本質にとっての美の意味。有への注視と有の忘却
美の本質。有への注視の奪回と保持
要約
美と真理の表裏一体性と葛藤
第5章 芸術を仮象への意志とするニーチェの規定
27 ニーチェによるプラトン主義の転倒
プラトン主義克服の最後の歩みとしての、プラトン主義からの転回脱出
プラトン主義の歴史の呈示。「真なる世界」についての寓話
批判的補説。プラトン主義の克服と強化
28 感性的なものの新しい解釈と、芸術と真理の触発的葛藤
生命体の遠近法的性格
仮象への意志と真理への意志。ニーチェの回帰説の根源。芸術と科学
付録
A 講義とニーチェ全体について
ニーチェ講義について。ニーチェとの対決
ニーチェは何と考えられ、また今も考えられているか
従来のニーチェ哲学の歪曲
ニーチェ
哲学との対決とはそもそも何であるか
講義の意図、ごく暫定的に、かつ局限して
講義
B ニーチェについての二つの講義のために。
一九三六・三七年冬学期と一九三七年夏学期の全体
ニーチェの形而上学的使命
この講義を理解するための二つの条件
西洋形而上学の終焉
C 一九三六・三七年冬学期の講義と一九三七年夏学期の講義との連関
主導的問いの構造
両講義の本質的連関
D ニーチェ講義への注記
ハイデッガー所蔵の『ニーチェ全集』(八つ折版)