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自治体が作成したアプリケーションを(他の自治体が)最小限のカスタマイズでシステム導入する流れが生まれている
仮に予算を獲得しても使用できるのは来年度以降になるため、導入や改修に時間を要する。
内製しても担当者異動でブラックボックス化しやすい
要件がニッチなため、パッケージソフトが存在しない。外注するにしても、小規模なのでスクラッチ開発の予算がとれない...こうした状況において、自治体で注目を集めているのが、kintoneをはじめとするノーコード開発ツールになる。ドラッグ&ドロップで画面を作ることができ、データベースにデータを溜め、共有。プロセス管理で業務の流れを作り、コミュニケーションで職員同士がやりとりできる。「アナログの業務をkintoneに移行し、自分たちでシステムを作り、スピーディに業務改善を進めていこうという自治体が増えている」と瀬戸口氏は指摘する。 行政は「非営利で運営される」や「規模や地域は違っていても、業務内容は似通っている」という特徴がある。そのため、1つの自治体で作ったkintoneアプリを他のkintoneにコピーすることで、他の自治体が最低限のカスタマイズでシステムを導入できるというメリットが生まれる。「自治体の特性とkintoneの仕組みがうまくマッチした仕組み」と瀬戸口氏は指摘する。
kintoneはアプリやプラグイン設定を簡単にテンプレート化し、Zipファイル形式でシェアする仕組みを持っている。コピーしたアプリのテンプレートを参考に、各自治体は自ら項目を変更・修正すれば、自治体ごとに異なるアプリを作ることができるわけだ。こうしたシェアDXは各自治体に拡大している。
たとえば加古川市はコロナワクチンのWeb抽選申し込みシステムのテンプレートを岐阜市にシェア。別府市は避難所の運営支援システムのテンプレートを市のオープンデータサイトで公開している。また、大阪府のコロナウイルス感染患者情報管理システムのテンプレートは兵庫県や埼玉県にシェアされ、神戸市の公用車の運転日報システムは、川口市、知立市、奄美市などでも活用されているという。
2020年に公共専属グループを創設。また、自治体職員であったら誰でも参加可能なコミュニティである「Govtech kintone community(ガブキン)」を開設。現在は200自治体/500名の自治体職員が参加しており、業務ノウハウやテンプレートの公開、資料や動画の提供、イベントの開催などを実施している。