カテゴリー錯誤
例えば、ライルの有名な例として、大学を見学する人が「建物や施設はわかったが、大学そのものはどこにあるのか」と尋ねる場合があります。この質問は、大学を建物のような物理的な存在だと考えているため生じる誤解であり、大学は建物や機能の集合体全体を指すものであって、個別に特定できるものではないという点を見落としています。このように、ある概念がどのカテゴリーに属しているかを誤解することが「カテゴリー錯誤」と呼ばれます。
ライルは、この「カテゴリー錯誤」をデカルトの心身二元論の批判に用いました。心を物質のように実体化して捉えること自体が、心の性質を誤解していると指摘したのです。このように、正しいカテゴリーで理解しないと本質を見失うという批判を通して、「カテゴリー錯誤」の概念はさまざまな哲学的問題の解明に活用されています。