「自閉」という言葉の由来と概念の変遷
本田秀夫(2018)「自閉という言葉の由来と概念の変遷」『信州医誌』66(5): 305-6.jstage.jst.go.jp
「自閉」という言葉の由来と概念の変遷
信州医学雑誌, 2018 年 66 巻 5 号 p. 305-306
macoto_y 2ページと短いけれども、「自閉スペクトラム症」という用語に関するとても有益な情報。 claude.icon
スイスの精神医学者ブロイラーによる'Autismus'の訳語
ギリシャ語の'autos-'(自己)と'-ismos'(状態)から作られた
当初は統合失調症の4つの基本症状の1つとして位置づけられた 日本語訳「自閉」の由来
1937年の日本精神神経学会の用語統一試案で初出
内村祐之氏が提唱したことが後に判明
early infantile autism
1943年:カナーが「early infantile autism(早期乳幼児自閉症)」を報告
名称に‘autism’を用いたのは,児童期に発症する統合失調症の一種である可能性を考えていたからである。
その後、違うものだと考えられるようになった
その後の研究で,1970年代以降は,カナーが提起した早期乳幼児自閉症は生来性の発達の異常であり,早くても前思春期以降に発症する統合失調症とは異なるものであるとの認識が広まった。
1980年代以降:診断基準の変更により、統合失調症の文脈では「autism」という言葉が使用されなくなる
概念の拡大
ウィングによる分類:「孤立型」「受動型」「能動・奇異型」
アスペルガー症候群を含む「autistic spectrum」という概念の確立
これが現在の「自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder)」の由来 現代における課題
「自閉」という言葉が誤解を招きやすい
「暗い性格」「ひきこもり」「うつ」などと誤解される
実際は裏表のないサバサバとした性格の人が多い
新しい適切な日本語訳が求められている
https://gyazo.com/631a894f7c96d4b82c93503f249f3e6b
2: 概念Bを拡大してCを含めようとした、Aが共通していたからである
3: しかしBの一部とすることは不適切とわかった、そこでBから離れて移動しC2となった
4: BがAとの関係で記述されるのは不適切と考えられ、Aから分離してB2となった
5: C2の概念に当初よりも広がりがあることがわかったので拡大してC3となった
この時、拡大したことで増えたC4の部分はAとの関係性がない
しかし歴史的経緯によってC3のことがAと関連した名前で呼ばれている
これは好ましくないよね、という話