はじめての予算管理
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予算管理への実務が求められる新米管理職に向けて実践的な内容が書かれている
実践的だと感じたメッセージの例
「まずはいきなり会計の勉強を始めなくていいですよ。管理職になるまで業務を遂行してきたと思います。その業務知識を使って必要十分な予算管理できますよ。そこから始めましょう」
「まずは一般的な予算管理について勉強しなくていいですよ。予算管理は各組織によってやり方がまちまちなので自組織のやり方の習熟から始めましょう」
「恐らく最初にくるイベントは月次決算です。ひとまずこれを1ヶ月乗り切る方法を教えます」
「まずは前例を踏襲しましょう。違和感がある部分は慣れてきてから調整するとよいですよ」
「求められるドキュメントを作るだけではなく、そのドキュメントを使う人(経理・上司等)とコミュニケーションをとって、使う人が困らないようにしよう。ひるがえっては急ぎの回答を求められたりすることがなくて自分を助けることになりますよ」
直近のイベントの乗り切り方から書いてある
「どうやるか(How)」について主に書いてある。「なぜやるか(Why)」は「ひとまずどうやるか」が達成できるだけの最低限に留められている
ついやりたくなってしまうけど、かけた時間に対して職責を執行するための効果が低いことを制限して、効果の高いことに集中させてくれているところが実践的と感じるのだな
「(まずは)やらなくていいですよ」とアドバイスするのは勇気がいることで、熟練者の見識が問われそう
予算管理
自部門の活動をお金に紐づけて管理する
なぜ管理するのか
よりよい 行動をするため
予測するためではない。この文脈での予測は行動するためにある
将来を成り行き任せにしないため
複数人で向かいたい方向、速度を明示するのに都合がよい
数値によって明示できるというところが重要
「来年は今よりもうちょっとがんばろっか」と話したときの「もうちょっと」は受け取る人によってまちまちになる
管理対象は利益
利益 = 収益(売上)-費用
やり方
トップダウン
経営層から割り当てる
大方針と一致させやすい
実現可能性や、実施する人が納得して取り組めるかというところに課題
ボトムアップ
できることを積み上げる
実現可能性は高い
経営陣が求めたい目標との調整が発生する
(折衷案)
活用
労力のかけすぎに注意
年度始まる前に作るだけで終わらず、それを年度中にも活用できると、かけた労力を回収しやすい
実務のコツ
予算管理の問い合わせが来やすいタイミングがあるので、それに合わせて準備しておく
準備しておけば時間的猶予を得やすい
組織によるけど、決算月とか四半期の切り替わりなど
問い合わせが来やすいものがあるので、それに合わせて準備しておく
費用が大きいものベスト3の内容や金額は何も見ないでも答えられるようにしておく
予算管理では、予算と実績で構成される。より参考になるのは実績
予算は人の希望が含まれている
実績は事実
月次決算
担当部門のその月の活動がどうだったかの実績
観点
3 種類しかありません。それは「今年」「前年」「予算」です
この 3 要素を比較して差をみる
「前年の実績」と比べて「今年の実績」はどうだったか?
「予算」と比べて「今年の実績」はどうだったか?
差異があるときの説明は 2W1H を必ず書く
Where どこで差がでたか
Why なぜ差がでたか
How この差によって将来がどうなるか
差異の種類
金額の大きさ
有利/不利: 予想よりうまくいった有利差異、予想よりうまくいかなかった不利差異
一時/永久: 実施時期がずれただけの一時差異、実施のタイミングがなくなる永久差異
金額が大きくて、不利差異で、永久差異なものは注目を集める
それはそうだなという気がする(感想)
差異にはそれを埋めるアクションが必要になる
予算との乖離は、今後の予算を立てるのをさらにうまくやる必要がある
請求書処理漏れは、請求書を早急に処理する
業績見込
予算は未来のことを年度事に予測して作るもの
業績見込も未来のことを予測して作るものだが、四半期毎に作るなど、年度より短い単位で作る
一般的には四半期毎に二週間かけて作る
予測のコツ
どうしてその予測にしたかは後から検証可能にしておく
予測を外しても当てても、理由がわかれば予測自体が上手になる
観点
差異を中心に説明するとよいでしょう
前回の業績見込からの差異
予算と今回の業績見込の差異
毎月報告している月次決算との整合性
3 つ、あるいは 2 つ作る
最もありえそうな見込
最もうまくいかなかったときの見込
最もうまくいったときの見込
これは省略されることもある
(想像だけど、うまくいったときに取らなきゃいけないアクションって特にないことが多いからなのかな)
予算作成
年度毎の予測
自分の部門がどこの数字を作らなければならないのか、きっちりおさえておく
当然自部門だけではわからないので、予算をまとめる経理部などとしっかり合意する
予算の作り方
かけ算
構成要素のかけあわせ
例: 売上 = 客数 * 客単価
足し算
内訳の足し合わせ
例:総売上 = 関東エリア売上 + 関西エリア売上 + 九州エリア売上
金額の小さいところは丸めてもいいし、しっかり作り込まなくてもい
月に按分する方法
必ず月毎に予算を出すことになる
他の項目の月次金額をもとに按分するパターン
例: 販売手数料は売上に比例するので、売上の月次金額と同じ割合で按分できる
前年の月次金額をもとに按分するパターン
例: 水道光熱費は季節変動するので、前年の金額割合が参考になる
単純に 12 等分するパターン
例: 修繕費はいつ必要か予測するのが難しい。予測が難しいものは単純な計算方式をとり、発生した実績との差分について説明つけやすいようにしておく
予算がうまく作成できているかのチェック
実績数値と整合していることをチェック
会社の事業や状況に大きな変化がないなら、過去実績との乖離は少ないはず
5期ほど用意しておけると、直近の過去1期が特別な値になっていても気づけるのでおすすめ
予算を含む3〜5期分を並べた推移を見ることも、とても良い方法です
増加/減少の傾向や、その度合いの延長線上に次の予算があるかチェックしやすい
観点
変動費/固定費
変動費というのは、売上が増えると比例して増える費用のことを言います
「売上が増えると」は実務上「稼働が増えると」と言いかえることができる場合が多い
固定費とは、売上が増えても金額が増えない費用のことです
一時費用/継続費用
1 回しか発生しない費用を一時費用
定期的に発生する費用を継続費用
必須費用/任意費用
予算作成において、もっとも重要な分類
事業上必須
そうではない(任意)
必須か任意かは予算には明記しないほうがいいですよというアドバイスが実践的だ
出せる情報は全部出したほうが話が早いと思いがちだが、だいたいの世の中はそういう風にはできていないのだろうなあ
交渉というのはそういうものなんだろう(感想)
費用項目に漏れがないか
予算管理の観点から見ると、金額の正確さ以上に、項目出しに漏れがないかのほうが重要なのです
項目がないと、その項目につく予算は0で、不正確なものになってしまう
特に新規案件の予算のときには何回も外部の人と確認して項目の洗い出しを念入りに行うこと
予算作成には折衝が含まれる
未来の不透明なことに対して意思決定しなければならい
多数の項目を短時間で意識決定しなければならない
意思決定する立場の人にとって、気心の知れた信用できる人物による説明、裏付けは大きなよりどころ
自部門の業務を進めやすいような予算を通すためには、そういった人(たいていは上司など)に自部門の予算の中で話題に上がりそうなものと、それがどうして必要なのかをあらかじめ話しておく。またどうしても調整が必要なときに備えて項目の優先順位と優先すべき理由を伝えておく