しょぼい起業で生きていく
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大きな目標を成し遂げるためではなく、生きていくための仕事としての起業について書かれていた。一般的な起業でも利益を早めにプラスに持っていけるように努力するがその場合は収益(売上)の増大が主要因となる。しょぼい起業では費用の圧縮を通じて利益をプラスに近づけることから初める。基調となるマインドセットが一般的なものと逆方向になっている(けれどうまくいっている)ものを読み体験すると私の考えの幅を大きくできるのでこういった本は好きだし読んでよかった。
この本で案内しているのは、大目標があっての起業というものではなく、既存の組織に属して生きるのにやりにくさを感じている人の生業(生きていくための仕事)としての起業。
新しいことを初めるのではなくて、生活のどこかを利用してお金を生み出せないか考えてみよう。これを生活の資本化と呼ぶ。例えば埼玉から東京へ定期券で通っていたとして、埼玉で野菜を入手して東京で売れば生活のための移動であり物資を換金するための輸送にもなる。生活に必要な支出は誰しも行っている。その支出を費用ではなく投資とできるような行動を見つけて実行に移すということ。
自給自足の度合いを増やすように行動する。すると外部依存の減少により消費が減る。利益 = 収益 - 費用であるため、費用が減った時点で収益はなくても利益は増加している。もし自給自足で余った分があれば換金してさらなる収益を得る。
既に手元にあるけれど、稼動していないものを稼動させられないか考える。例えば車はあるけれど使っていない時間が長いなら、車を使いたい人へ貸してあげてお金を得る。こういったことを実現するためのサービスもあるので利用する。これを資産の資本化と呼ぶ。自分の持ち物で、自分が使っていないときに誰かの役にたてられないか探し見つかれば実行する。
家に住んでいるなら、その家を店にできないか、あるいは店を借りてそこに住めないか検討する。そこに人が集まってきた人との中で商売のタネが生まれるのでそれを育てる。人が集まるためには、決まった時間に開いていて、行けば何か新しいものが手に入ったり楽しいということが必要。
育てていくうちに自分だけでは今手元に用意できない資金が必要になることもある。投資家の気持になってみる。投資先に求めるものは投資リスクに見合うリターンであるが、それはお金のみであるとは限らない。投資家のやりたいことをかわりに推し進めたり、投資家が楽しめるような事業展開という場合もある。わたしたちはそちらを推していこう。
「お金がないのでまだ初められていない。だからお金をください」「ここまではやってきたのだけど、ここからはまとまったお金が必要だからお金をください」のどちらに投資したいだろうか。少なくとも初めておいてお金がなくとも挑戦できるところまでは進めておかないと投資を受けるときの成功度合いが大きく異なる。
お金があっても自分だけではできない場合は集まってきてくれた人に手伝ってもらおう。人によって得意なことは違うので自分がうまくできないこと他の人はかるがるとやってしまうかもしれない。逆もしかりで自分にはうまくできることが他の人にはうまくできないかもしれない。こういう貸し借りをこまめにおこなって友好的な人間関係を保てると助かることも多い。
今お客さんではない人をどうやってお客さんにしていくか。SNS が有効。ただ漫然とやるのではなく SNS を店舗にする そして SNS という店舗を経由してきた人に実際の店舗でお金をつかってもらう。お店はつねに楽しそうに明るくしておく。人はなんとなく楽しそうなところに集まる。
しょぼい起業は何度もコケるのが前提にある。当たったら大きいかもしれないがコケたら死ぬというのはしょぼい起業にはそぐわない。当たってもたいしたことないがコケても死なない方を優先する。何回かコケているうちにだんだんとうまくなっていく。
この考えかたは Eric Sink さんが提唱していたMicroISVと近しいものを感じる。組織を大きくし大きな収益をあげるのと、ニッチな市場で高い利益率をあげるというのは、それぞれに向いた別のやり方があるだろう。
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