膠
「膠(にかわ)」とは、動物の骨、皮、腱、腸などを水で煮出して得られるゼラチン質の接着剤です。漢字の由来は「煮皮」であるという説もあります。ゼラチンと同じコラーゲンを主成分としますが、不純物が多く粘度が高いものが「膠」とされます。 特徴
熱で溶け、冷えると固まる: 膠は乾燥した状態で売られており、水に浸して加熱することで液状になり接着力を発揮します。冷えると再び固まる性質を利用して、紙や木材などを強力に接着させます。
天然素材の接着剤: 化学物質を含まない天然由来の接着剤であるため、環境に優しい素材として知られています。
乾燥すると弾力性を失う: 弾力性があるものの、経年劣化で柔軟性を失っていきます。
主な用途
日本画: 絵の具の粒子自体に接着力がないため、顔料と混ぜ合わせ、画面に定着させるための固着剤として不可欠な材料です。
墨: 書道用の墨の固着剤としても使われます。
楽器の接着: 弦楽器など、繊細な木材の接着に用いられます。
工芸品や文化財の修復: 天然素材のため、文化財の修復にも利用されます。
その他: マッチ、研磨布紙、製本、貼箱など、幅広い分野で利用されてきました。
ゼラチンとの違い
膠とゼラチンは、同じコラーゲンを原料としますが、精製度の違いで区別されます。
膠: 不純物が多く、粘度が高いため、主に工業用(接着剤、画材など)に使われます。
ゼラチン: 高い純度に精製されており、食用、医療用、写真用などに使われます。