昆虫調査
昆虫類は全世界で約95万種が知られており、もっとも多様性に富んだ生物の一つと言えます。種によって生息環境の選好性や適応力が異なり、昆虫の種構成からその環境を評価することができます。その中でも環境の指標性が高いグループとして、チョウ、トンボ、バッタ類を対象に調査を行っています。ビオトープの位置する笹窪谷は藤沢市で最も生物の多様度が高い場所で、多様な昆虫の生息が確認されています。
チョウ類
幼虫の食草となる植物に大きく影響されます。ビオトープでは48種が確認されています。
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▲ツマキチョウ(メス) 成虫は春先にのみ見ることができ、スプリングエフェメラルと呼ばれる。
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▲キアゲハ 幼虫がセリなどを食草とするため湿地に多い。
バッタ類
草地から樹林まで広く分布し、同一環境内に生息する種間でも複数の環境要因が生息に影響します。鳴く虫の代表種とも言えるクツワムシの市内最大の生息地となっています。調査では51種が確認されています。
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▲ヤブキリ 孵化直後は花粉などを食べるが、成長とともに肉食性が増し、獰猛になっていく。
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▲クツワムシ 藤沢市では絶滅の恐れがある ▲ナキイナゴ 2017年にビオトープ横の草地で確認された
トンボ類
幼虫は水中で過ごし、成虫は陸上で生活するため、水域と陸域の両方の環境を必要とします。流水環境に生息するヤマサナエやオニヤンマは生息していますが、止水環境を好む種が少なく、ビオトープ(谷戸全体でも)は止水環境に乏しいと言えます。
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▲ヤマサナエ ▲オニヤンマ
ライトトラップ
通常の調査とは別に、ライトトラップを設置した調査も行いました。ノコギリクワガタなど夜行性の大型昆虫も確認することができました。
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▲ノコギリクワガタ ▲ミヤマカミキリ
チョウトラップ
腐った果物などの誘引物を用いてタテハチョウ類などを集めるチョウトラップを設置して、集まるチョウ類を調査しました。
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▲チョウトラップ設置の様子 下の台に置かれた誘引物に引き寄せられた昆虫が隙間から入っていき、上に逃げる習性からなかなか逃げられなくなる。
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▲イチモンジチョウ ▲キイロスズメバチなどチョウ以外にも樹液に集まる昆虫が採れる