管理作業
プロジェクトを始めた年の初めて迎える夏、ビオトープの様子を見て驚きました。自分の身長より丈の高い外来植物オオブタクサ、セイタカアワダチソウが一面を覆っていたからです。そびえ立つ壁に立ち向かうような構図で作業していました。こうした外来植物が覆っていては林床は暗くなり、在来植物の生育を阻害してしまいます。
他にもビオトープでは次のような問題を抱えています。ビオトープ造成当時に50本ほど植えられたハンノキは間伐が行われないまま2015年時点で約2倍にまで増えていました。細い木々が密生し、これもまた林床を暗くしていました。また、雨風で地形が変化し、土が堆積してしまったことで、ビオトープ全体の乾燥化が進んでいます。夏場は細流の水が枯れてしまっています。
こうした問題に対処するため、生物調査と並行して管理作業を行っています。生き物は当然生きているので、我々の都合を考えて成長してくれることもありません。種ごとのサイクルに合わせて作業内容を決め、管理を行っています。
外来植物の駆除作業
ビオトープ内に蔓延る外来植物3種はいずれも繁殖力が高く抜き取っても翌年生えてきます。しかし継続して作業を行うことで総量は減っており、効果は見られています。セイタカアワダチソウの根絶には、十年単位での駆除が必要と言われますので、根気よく作業を続けていくことが重要です。キショウブは2年程抜き取り作業を行ったことで、ほぼ根絶されました。
オオブタクサの抜き取り作業
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▲壁のようにそびえ立つオオブタクサ(左)。抜き取り作業を終えた後の様子(右)。
セイタカアワダチソウの抜き取り作業
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▲黄色い花を咲かせたセイタカアワダチソウが密生しているのがわかる(左)。抜き取り作業を終えた後の様子(右)。
キショウブの抜き取り作業
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▲湿地部分に繁茂するキショウブ(左)。抜き取りを終え開けたのが一目瞭然となっている(右)。
密生したハンノキの間伐
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▲密生するハンノキ、適切に管理されず細い木々が多い(左)。学事に話したのち、業者に指定した木々を切ってもらい開けたのがわかる(右)。
エコスタックづくり
昆虫類を始めとした生き物がが産卵・冬眠などに利用できるよう、ビオトープ内に落ちている枝や倒木の一部を写真のように積んでいます。これをエコスタックと言います。ビオトープ内に落枝・落葉が堆積し過ぎると湿地の乾燥化につながるため、それを防ぐためにも一か所に集めています。
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