論理哲学論考
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『論理哲学論考』(英: Tractatus Logico-Philosophicus)は、ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインがその生涯で出版した唯一の哲学書である(1921年刊行)。非常に簡潔かつ断定的、かつ論理的に階層化されたスタイルで書かれている。 本著の核心を簡潔にまとめると以下の通りである。
1. 世界と事実(世界は事実の総体である)
世界は「物(もの)」の集まりではなく、「事実(じじつ)」の総体である。事実とは、事物の組み合わせである「事態(じたい)」が成立していることを指す。論理空間内にある事実の総体が世界を構成する。
2. 写像理論(言語は世界の図である)
言語は世界の状態を「写像(図解)」するものである。命題が意味を持つためには、その命題が表す論理的構造が、現実の事態の論理的構造と一致していなければならない。私たちが命題を理解できるのは、それが現実を「図」として描いているからである。
3. 言語の限界(語りうるものと語りえないもの)
言語が意味を持って語ることができるのは、自然科学の命題のような「事実」に関するものに限られる。それ以外の領域、例えば倫理、学、宗教、形而上学については、言語でその内容を記述することはできない。これらは「語りうるもの」の限界の外側にあり、「語りえないもの」に属する。
4. 「示す」と「語る」の区別
論理的構造そのものや、倫理的な価値などは、言語によって説明(語る)することはできないが、言語の使用や世界のあり方を通じて「示される」ものである。
5. 哲学の役割と「梯子」の比喩
哲学の目的は、思考の論理的明晰化である。ウィトゲンシュタインは、本著の読者がその内容を理解したとき、最終的にはこれらの命題自体がナンセンス(無意味)であることを悟り、それを「梯子(はしご)」のように投げ捨てなければならないと説いた。
6. 結論(沈黙)
本著は、あまりにも有名な次の命題で締めくくられる。 「語りえぬものについては、沈黙しなければならない。」