発生的認識論
genetic epistemology(英)
認識の発生過程に依拠した認識論。ブランシュビックBrunschvicg,L.やコイレKoyré,A.などに先駆的に見いだすことができるが,これを自立した学問として確立したのはピアジェJean Piagetである。ピアジェの規定によれば,発生的認識論は「認識,とくに科学的認識を,その歴史や社会発生に基づいて,そしてとりわけ認識の基盤になっている諸観念,諸操作の心理的起源に基づいて説明しようとするものである」。これに対し,伝統的な認識論は,認識は哲学の研究領域であるとし,哲学者は現在もそのように自認し,認識の本性,可能性,妥当性を問うてきた。