サイボーグ
サイボーグ(cyborg)は、サイバネティック・オーガニズム(Cybernetic Organism)の略で、広義の意味では生命体(organ)と自動制御系の技術(cybernetic。サイバネティックス)を融合させたものを指す。現在、サイボーグ技術と呼ぶことができて、程度の差こそあれ実用化に達しているものには、ペースメーカーや人工心臓、筋電義手、人工内耳、人工眼(眼球・網膜・視神経などの代替)などが挙げられる。サイバーパンク文化において中心的な役割を果たす(マトリックス、攻殻機動隊など)。 ハラウェイ(2000)においては「サイボーグーサイバネティックな有機体ーとは機械と生体のハイブリッドであり、社会のリアリティと同時にフィクションを生き抜く生き物である」。サイボーグは西洋思想史にも先例がなく、家父長的で資本主義的な制約を免れる存在である。ハラウェイは、ジェンダー差によって生来的にある被抑圧を超える発想を、サイボーグという概念で示したのだが、その考えは機械技術に限定したものではなく、生物学や環境などの広い観点でフェミニズムのあり方に論及して支持を集めている。
参考
ダナ・ハラウェイ(2000)『猿と女とサイボーグ : 自然の再発明』 高橋さきの訳 青土社