The GNU Manifesto
The New Media Reader, pp. 543 - 550(目次) 初出
Dr. Dobb’s Journal. Vol. 10, No.3. March 1985.
GNUプロジェクトの冒頭にて最新版を確認できる
Introduction
Richard Stallman(以下Stallman)はソフトウェアの有料化や占有に抵抗するため、GNUと呼ばれるUnix互換性のあるフリーソフトウェアの開発プロジェクト(GNUプロジェクト、以下GNU)を始動した。彼とそのフリーソフトウェア財団は、「公開されたソフトウェアを用いたり、またそれを発展させることで作成されたソフトウェアは公開されるべきである」といったコピーレフトという概念を提唱しており、GPLライセンスに組み込まれている。Stallmanは自由な情報の減少を批判するとともに、フリーソフトウェアを推進し、全ての人が自身の信念に基づいて行動できるような仕組みを提供しようとする批評家である。 Stallmanは元々MITのAIラボの研究者であり、そこでは同じくMITのJ. C. R. Lickliderのビジョンをもとに、改良したプログラムや新しく書いたプログラムをコミュニティ全体で共有することになっていた。しかし1980年代からプロプライエタリソフトウェアが広く使われ始め、AIラボでもプロプライエタリソフトウェアを使わざるを得なくなったため、MITのAIラボを辞職してGNUを立ち上げている。 本文
1. GNUについて(1段落目)
この段落では、GNUとはどのようなものなのか、またどのような機能を持っているのか、さらにはどのような将来を構想しているのかについて書かれている。
機能としては、EmacsやTeXをはじめとしてUnixの代替となり得るソフトウェアシステムを提供すると述べられている。
2. GNUの目的(2-5段落目)
ここでは、GNU設立の目的やGNUの利用方法が述べられている。
MITのAI研究所においてのソフトウェアの商用化問題に端を発し、ソフトウェアを占有しようとする動きに対して、フリーソフトウェアシステムを作成することにしたと述べられている。
また、GNUは多くのユーザにとって利益があるUnix互換を目指すこととし、再利用や再配布、改変したものを提供する際に全ての人が不自由なく利用できるようにする必要があると述べられている。
3. ユーザにとってのGNU(6-7段落目)
ここでは、ユーザにとってのGNUへの貢献方法やGNUによる恩恵に関して述べられている。
貢献方法に関しては、個人としては小さなUnixの機能をGNU用に置き換えていくことで、GNUへの貢献ができると述べられている。さらに、GNU専任のプログラマを雇うための資金提供などの金銭的な貢献方法もあると述べられている。
また、GNUによる恩恵として、特定の会社やシステムに影響されないシステムを多くの人が自由にかつ便利に使用することができるということが挙げられている。さらには、こういった恩恵により教育機関でシステムプログラミングをより簡単に教えることができると述べられている。
4. GNUに対しての反応(8段落目)
この段落では、GNUに対する意見を取り上げ、反論を行なっている。
例えば、「プログラマの生活のためには商用化が必要である」という意見に対して、ユーザの使用を制限することによって金銭を得るのではなく、寄付の仕組みを用いたり、ソフトウェアサポートなどのサービス業などの公共の利益を阻害しない方法で金銭を得るべきだと述べられている。
Further Reading
Crawford Diane, ed. Intellectual Property in the Age of Universal Access. New York: ACM Press, 1999.
Lessig, Lawrence. The Future of Ideas. New York: Random House, 2001.
Levy, Steven. Hackers: Heroes of the Computer Revolution. New York: Anchor Books, 1984.
Stallman, Richard. "The Right to Read," Communications of the ACM 40(2): 85-87. February 1997.