Salesforce 認定 Service Cloud コンサルタント の勉強メモ
※Summer '21, Winter '21 の時のメモです
https://gyazo.com/2a051e531ebf5d42b93b3050a13caa80
Salesforce 資格 16 個目の挑戦です。
いきなり完全に私個人のことを書くのですが、私が社会人になって一番最初に配属された部署は、Salesforce とはまったく関係のないコンタクトセンターシステムの構築を行うといった部署でした。そして紆余曲折があり Salesforce をやることになり、今はサポートエンジニアとして実際に Service Cloud を利用してお問合せの受付を行ったりしています。なので、私にとってこの資格こそ一番はじめに取るべきでは、とも思うのですが、なんで今までとってなかったんでしょうね (謎)。
ここでは私が Service Cloud コンサルタントの資格取得の際に勉強したことをメモとして残します。上記のような経歴もあるので、資格試験以外の実業務に則した内容とかもまとめていこうと思います。個人の見解が多分に含まれますためあくまでも参考として見ていただけますと幸いです。
はじめに:試験範囲
受験ガイドから引用しますが、本資格の要件としては以下のようなものです。
コンタクトセンター業界における経験があり、一般的なお客様のシナリオに沿って複数のアプリケーションを実装するために必要な知識など、Salesforce アプリケーションの専門知識も持っています。
そもそも:コンタクトセンターってなに?
コールセンターなら聞いた事あるんだけどなぁ、、、って思う方もいらっしゃるかと思います。企業のサポート部門は、昔こそは「コールセンター」等と呼ばれていましたが、これはサポートを受け付ける手段が電話 (コール)しかなかったからです。今は電話以外にも様々なコンタクト手段 (チャネル) が用意されるようになり、サポート部門も「コールセンター」から「コンタクトセンター」へと名前がシフトするようになりました。例えば、チャネルには以下のようなものがあります。
※カッコ書きで Salesforce の対応する機能名を記載しています
電話
チャット (Live Agent -> 今は「チャット」という名称になりました)
ビデオチャット (SOS -> 現在は廃止された機能です <- すみません、嘘でした。Classic のみですが使えます。なんで廃止されただなんて思ったんだろう。。。)
Web フォーム (コミュニティ / ウェブ-to-Case)
メール (メール-to-Case)
このように、コンタクトセンターにおいて「あらゆる接点で最適な顧客体験を提供すること」を オムニチャネル とも呼んだりします (omni- には、「すべて」や「複合的な」といった意味合いが含まれます)。
Salesforce におけるオムニチャネル
とはいえ、上に書いたのは一般的にコンタクトセンター業界で使われる意味合いのオムニチャネルです。Salesforce においては、オムニチャネルは設定項目の一つとして存在しており、ルーティングの設定を行ったりできます。
https://gyazo.com/e21f9cf3d44767c7133b566de60f186a
「オムニチャネルは作業項目をサポートエージェントに転送します」
と記載されてます。かなりわかりずらいですね。
コンタクトセンター関係全般の設定を、オムニチャネルで行う、ぐらいで覚えておけばよいと思います。
(参考)オムニチャネルのトレイルヘッド
以降では、コンタクトセンターのそれぞれのチャネル毎での、一般的な業務の流れを書いていきます。
コンタクトセンターの一般的な業務の流れ (電話機編 / インバウンド)
1. お客さまがコンタクトセンターの代表番号へ電話
交換機により IVR へと転送される (ここは Salesforce の範囲外)
2. 音声自動応答システム (IVR: Interactive Voice Response) が応答
お客様は音声の案内にしたがって、ダイアル番号を選択する
Salesforce 標準では今の所 (2020/10 現在) IVR 機能はないので、3rd party ベンダのソリューションを導入する必要がある
3. 選択したダイアル番号にしたがって、自動呼分配 (ACD: Automatic Call Distribution) が行われる
Salesforce 用語でいうとオムニチャネルの機能の一部
分配方式をルーティングと呼び、スキルベースルーティング、負荷状況に応じたルーティングなどがある
スキルベースルーティング:お客さまが IVR で選択したお問合せの種別 (問合せなのか、クレームなのか、等) を考慮したルーティング
負荷状況ルーティング:一番待機時間の長いエージェントに着信させる、等の負荷を考慮したルーティング
4. ルーティング方式に従い、アサインされたエージェントに着信
電話機と PC の連携 (CTI: Computer Telephony Integration) を導入している端末では、画面上のソフトフォンが鳴動
CTI については Amazon Connect とかが有名。AppExchange でコネクタをインストールして導入する
着信ポップアップにより、お客様の発信番号に紐づくお客様情報が画面上に自動的に表示される
着信ポップアップの動作についての Salesforce 設定は「ソフトフォンレイアウト」を参照
電話番号に紐づく情報が、ないとき、1件のみあるとき、複数件ある時、等で動作を制御
5. エージェントが応対を行う
カスタマーコミュニティからのお問合せ編
1. お客さまはカスタマーコミュニティ (Community Cloud -> Experience Cloud ですね) を表示する
2. お客さまはコミュニティ上のナレッジを参照する (しない人もいるが・・・)
3. 解決できない場合、以下のチャネルからオペレータに問合せを行う
3-1. Web フォームからの問合せ起票
Salesforce 的には ウェブ-to-ケース の機能を使う
Salesforce 上で設定を行うと、HTML が生成されるので、それをコミュニティに埋め込む
Web フォームに件名を入力すると、対応するナレッジが自動的に表示される機能 (ケースデフレクション) がある
コンタクトセンター的にはなるべく問合せ件数を減らしたい、という意図
3-2. チャットでお問合せを行う
Salesforce 的には Live Agent の機能を使う
3-3. ビデオチャットでの問合せを行う
Salesforce 的には Saleforce SOS の機能を使う
モバイルの機能
メールからのお問合せ編
Salesforce におけるメールでの問合せの受付方法には以下の 2 種類があります。
メール-to-ケース
イントラ内のマシンにメール-to-ケースエージェントをインストールする必要がある
めんどくさいが、ローカルマシンにメールの生データを保管しておけるのはメリットとも言える
メールの上限数が少ない (2,500 件)
困った
メールのサイズの上限がない
うれしい
オンデマンドメール-to-ケース
Salesforce の設定だけで OK
変なアドレス (自動生成されたやたら長いドメイン) にメールを送らなければいけない
実案件だと、公式のメールアドレス (xxxx@xxxx.info みたいなアドレス) で受け付けて、上記の変なアドレスに転送するってやり方をとることが多い
メールの上限数が多い (ライセンス数に依存)
メールのサイズの上限がある(25MB)
(余談) オンデマンドメール-to-ケースのことを「メール-to-ケース」と呼ぶ人が多いです。どっちかわからなくなります(笑)
Terrasky 様の記事がとても参考になりました。
メール-to-ケース と、オンデマンドメール-to-ケースの違いが載っています
既存のケースとの関連付け
メール件名のスレッド ID と一致 or メール本文のスレッド ID と一致 するかを設定から選ぶことができます
件名とかお問い合わせ本文でよく見る意味のわからない文字列のことです。
すっきりしますね。
応対への対応編
メモ
ケースナレッジの検索 コンソール
マクロ
コールセンターでの KPI
実際のいくつかのコールセンターに訪問したこともありますが、壁に以下のような KPI がオペレータ (コールセンターによっては「エージェント」と呼んだりもします) 毎にランキング形式で貼り付けられてたりしてあるのを見たことがあります。今となっては、これらの KPI はダッシュボードとして Salesforce のホームに表示させるご提案をしたかったなぁ、と思います。
コールセンターでは、オペレータ (OP) の方の他に、スーパバイザ (SV) の方がいて、オペレータの KPI を常に監視しています。
(余談ですが、SV がコールセンターを運営元の会社の正社員、オペレータはアウトソーシング先の別会社の社員とかバイト、ということがこの業界ではよくありました)
KPI には色々あるのですが、一部のみを抜粋してまとめてみます。
平均通話時間 (ATT: Average Talk Time)
コールセンターでオペレータが顧客と会話している時間
平均後処理時間 (ACW: After Call Work)
「ケースのライフサイクル」レポートタイプでフェーズ毎の時間を取れるので作れる
オープンされてから何時間、とかフェーズ毎に(New のフェーズで何時間、Working のフェーズで何時間、とかを出せる)
平均処理時間 (AHT: Average Handling Time)
ATT と ACW の総和
顧客満足度 (CSAT: Customer SATisfaction)
コールセンターでの対応について顧客がどれだけ満足したかのスコア
Salesforce だと、ケースをクローズした際に 5 点満点のアンケートが送信されるやつのこと
ネットプロモータスコア (NPS: Net Promoter Score)
顧客が企業に対してどれくらい愛着があるかのスコア
一次解決率
1回目のコンタクトで解決したお問い合わせの割合
自己解決率
カスタマーがお問い合わせをする 前 に解決できた割合です。これについては重要なので、別の章に切り出します。
こんな感じで色々な指標がみられています。上記は一般的なコールセンターの KPI ですが、Salesforce においては以下ヘルプにあるような指標も取得することができますため、レポートを作ってダッシュボードに表示させても良いかもしれません。
また、以下のような Salesfore Labs から提供されている AppExchange の便利なダッシュボードパッケージもあります。
お問い合わせを減らすための工夫
コールセンターでは頂いたお問い合わせをどう効率よく捌くかってのも重要ですが、一方でお問い合わせをそもそも減らすにはどうしたら良いかってのがよく考えられます。例えば、以下のような施策が取られます。
FAQ サイトの設置
カスタマーが FAQ を事前に見て自己解決を促します。
なんかの統計 (コールセンター白書かな?) でみましたが、日本のカスタマーはほとんどがお問い合わせをする前に FAQ 等のサイトでの解決を希望するそうです。(みんな電話したくないんですね)
ケースデフレクション
Salesforce の機能として存在します。お問い合わせの作成フォームのタイトルに文章を入力すると、自動的に関連するナレッジが表示される機能です。
お問い合わせを起票しよう!って思った時にナレッジが表示されて、それで解決できたらみんなハッピーです。
自動レスポンスルール
Web-to-ケースで特定のキーワードが含まれていた場合に、特定のテンプレートのメールを送信するやつです
コンソール内で効率よく作業してもらうための機能
上に書いた ACW や AHT を改善するためには、オペレータの作業効率を UP させる必要があります。そのためには以下のような機能があることを覚えておくと良いです。
マクロ
よく使う一連の流れを登録しておいて、いつでも呼び出せます
クイックテキスト
よく使うワードを登録しておいて、いつでも呼び出せます
キーボードショートカット
コンソールアプリで Ctrl + / を押すと出てきます。一度見てみると良いかも
こんな感じ
https://gyazo.com/abe7c0995de070551e998f75a29f5af9
契約関係
コンタクトセンター業界では、契約によりサービスレベルを設けていることが多いです。
例えば、Gold 契約だったらお問い合わせの一次回答まで 1 営業日以内、Silver 契約だったら一次回答まで 2 営業日以内、とかです。この契約だったらこれには回答できるけど、こっちには回答できない、ってのも契約できまったりします。
エンタイトルメント
サービスレベルを定義します。
マイルストン
「一次回答まで 1 営業日以内」とかそういった内容を定義します。
画面上にあと XX 分 XX 秒以内に回答してねみたいなリアルタイムにカウントダウンさせるコンポーネントを表示させることもできます (こんなの表示されてたらあせる)
マイルストン違反になりそうな場合にマイルストンアクション (メールを送るとか) を起動できます。
ナレッジ
以下のトレイルをやっておけば間違いないです。
ナレッジの作成には「ナレッジユーザ」ライセンスが必要です。
ナレッジの参照にはライセンスは必要ありません。(できないとコミュニティに公開できないですね)
ナレッジ記事のライフサイクル
作成 > レビュー > 公開 > 参照 > アーカイブ
ナレッジに関しても AppExchange のダッシュボードパッケージがあります。
よく利用されているナレッジ、されていないナレッジが一目でわかります
FIeld Service Lightning
受験ガイドに書いてあるので試験範囲なんですね、これ。
フィールドサービス向けのサービスです。専用のパッケージを組織インストールして使います。
フィールドサービスとは何か、コトバンクより引用します。
顧客のもとに担当者が赴き、機器の設置や点検・修理などの作業を行う業務形態のこと。
これも会社により呼び名は変わりますが、作業指示を出す「ディスパッチャー」、実作業を行う「テクニシャン」等の役割の方がいます。これらの方々が使う機能を詰め込んだパッケージが FIeld Service Lightning です。
サーバ作業とかしたことある方はわかるかもですが、作業部屋はインターネットが繋がらなかったりします。そういったところに iPad とかを持ち込んで作業を行い、作業記録をつけたりします。なのでオフラインでも作業ができることが前提になったりする場合も多いです。
Service Cloud コンサルタント資格の上位資格としては、「Salesforce 認定 Field Service Lightning コンサルタント試験」というのもありますので、Service Cloud コンサルタントの試験では概要くらいしか聞かれないんじゃないんかなと、思います。
その他参考になりそうな Trailhead
その他参考になりそうな資料
いつのまにか出てきた機能なんですけど (多分最近)、ガイド付き設定フローというのがとても便利です。
チャットとかナレッジの設定を一瞬で行うことができます。試験勉強する上で画面上の機能設定は一度試した方が良いと思うので、下記記事にかいてあることは全部やってみましょう!
受験後の感想
無事に合格しました。具体的な設定内容だけでなく業務知識の方も問われる試験だったな、というのが感想です。
やはり上に書いてあること以外の部分も多く出題されましたので、あくまでも参考情報として見ていただければ幸いです。
(試験後にメモを修正したりすると問題傾向を流してることも疑われかねないので、あえてこのままにしておきます。笑)